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こどもシリーズ

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大人が想像した、摩訶不思議な子供たちの世界。 「文明社会の中で生きていると、だんだんにその文明が入っていってしまうが、それ以前に子供は、非常に強い問題を、太古の言葉で、哲学的な…
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#小説

こども妖奇譚

 家の前の路上では、小学生くらいの子供が夜の7時や8時になっても遊んでいることがある。自…

垂直居士
1年前
58

こども雪見録

 「都心は雪に弱い」は、もはや積雪前の常套句になっており、実際にほんの少し積もっただけで…

垂直居士
2年前
54

こども雨声録

 物憂い雨の日であった。戸外に、幼い少女たちがキャッキャと雨を避けてはしゃいでいる声がす…

垂直居士
2年前
34

少年時代(懐疑の芽生え)

 一度だけ、幼稚園でおもらしをしたことがありました。いすに座っているときに、うふふと笑っ…

垂直居士
3年前
27

こども戦国録

 急にテレワークの風潮が始まって、最初はあの煩わしい通勤を省けるのは有難いと思っていたが…

垂直居士
3年前
28

こども疾風録

 街で奇妙な光景を見かけるようになった。小型の自転車のようだが、よく見るとペダルがない。…

垂直居士
3年前
21

こども巌流島

 近所の子供たちが夏休みに入ったらしく、昼間の熱いさなかに賑やかな声が響いてくる。今年の蝉の鳴き声に力がないこととは対照的に、子供の嬌声が何はばかることなく周囲を圧倒している。文京区は小石川の小アパートに数年住まっているだけだが、入居当時に幼児であった子供らはおそらく小学生に上がり、追いかけっこをしてはしゃぐだけの遊びから脱して、キャッチボールをするまでになった。彼らはいよいよ「スポーツ」を知ったのである。すなわち遊戯が競技になり、競い高めあうことの喜びを幼児から少年になる過