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ヘボい私がヘボコンに出た話



ヘボコンという技術力の低い人のためのロボット大会によく企画などでお世話になってる自分のボタンさん(以下ボタンさん)が選手枠に当選したので、声をかけてチームとして出させてもらった。

私もボタンさんも同じ主催者であるデイリーポータルZがやっている地味ハロウィン(地味な仮装をし、お互いの仮装を褒め合う催し)は何度か参加したことはあったが、ヘボコンはご縁が無いことが多く、今回が初めてだった。

その手のメカニックな工作も計算も一切できないが、7月後半に出場が決まって、8月の終わりにある大会まで まるまる一か月あるのだ。ヘボい連中との闘いなので下手でも余裕だろう。

私たちはチャットでアイデアを出し合いつつ、予定が合う時に実際に買い出しや組み立てていくことにした。

アイデアが財布と品揃えと低い技術力に負けてどんどん妥協されていく


悪がヘボく負けるのが一番面白いからという理由でテーマが『悪いことを沢山しているロボ』に出場が決まった夜に決まり、

すぐにボタンさんがアイデアを図にしてくれた


バイキンマンが乗ってるやつみたいにアームが伸びてる風にしようとか人質を巻き付けようとか、そこからアイデアがどんどん出てくる。こういう最初の無責任な一歩目はちゃんと早い。

結局使わなかったガトリング


しかし、100均とかホームセンターとか行けばなんか思いつくだろ」と早速買い出しに行って、いまいちどれもパッとせず ガトリングみたいになってるシャボン玉だけ買ったり、
カッコいいから視聴覚室のカーテン買ってマントにしようと言ったものの、ニトリに行ってちゃんとしたカーテンの金額にビビッて買うのやめてしまったり、
アイデアがY軸に高く伸びたせいでロボットが手で物理的におさえないと装飾が全て横転してしまったり、作業がなかなか進まない。


おにぎりを超えてゆく予定だった

けれどロボットの組立てや細かい装飾は役割分担しつつも、ほぼボタンさんに制作を押し付けることによって完成にありつけた。


しかし、もう手に負えないほどの細かい設定が詰め込みすぎてしまった。
ボタンさんがnoteにまとめて下さったのでここでは割愛するが、かなりボリュームがあって大変なことになっているのが伝わるはずだからぜひ見てほしい。



当日になって動かない



朝1番にタミヤの工作で作ったタンクが回るべき部分を回さないでいるのにモーターの駆動音を鳴らしている映像が送られてきた。まじか。

これを組んだのは私で、でも作った時は元気に回っていたから正直心当たりがない。というかその手の知識がないからどうしようもない。

しかも、どうやら私は説明書も予備のパーツも出来たからもういらないからと、どっかにやったか捨ててしまったらしい。“らしい”というのは捨てた本人の記憶に完全にないからだ。

昼飯も食べずに慌てて渋谷に集合し、公園のベンチでロボットを全てひっくり返した。すぐにネジがどっかにいった。慌てて地面に這いつくばってから拾い上げ、養生テープの囲いの中にネジをぶち込む。とりあえず回してみるが、そういえば組み立てたときに小さすぎてその小ささに怒りながら止めたネジがない。

なんで? 簡単に外れるべきパーツじゃなくない?

長さの調節とかをしなければいけない箇所だった気もするけれど、もう定規も時間もないのでとりあえず、瞬間接着剤でそれっぽいところでくっつける。意外と簡単にくっついたので、よしよしと取り敢えずこのまま会場入りする。


会場に行くまでに壊れることを前提としたイベントだったので、ありがたいことにお直し台がある。そこで、とりあえず素手でぶっ外せそうなものはグーで外して、勘でギアを組み合わせていると、しゃがんでいるのにも関わらずもっと低いところから声をかけられた。

ガキ「ねぇねぇ、動かないの?」

ビビった。入ってすぐ、会場にはデイリーポータルZの人やフォロワーが100万人いるYouTuberもいるのに、なんでこんな切羽詰まってる見ず知らずの私たちに声をかけるのか。「動くもん」とぶっきらぼうに答えても私たちの前から消えないでずっと聞いてくる。見ればわかるだろ。周りにはもっと確実にヤバイメカメカの群れがあるんだからそっち行きなよ。

知らんガキに煽られながら勘でパーツを箱に入れ、ネジがあった場所に瞬間接着剤をベタ付けする。昨日の夜まではこんな切羽詰まったことになるとは思わなかったゼ…

ひとまずロボットを元に戻していたところ、デイリーポータルZの編集長の林さんが、後日か当日のレポート用にと写真を撮ってくださった。編集長は同僚の写真や後ろの除草剤を面白いと言ってくださってめっちゃめっちゃ嬉しかったが、動かないロボットを「楽しみにしてます」と応援されたときは心がギュッとなる感覚がした。

なにもかもがヘボい会場


何かが不足している気がするものの、見た目は原状回復してるしもうすべてが大丈夫になったと信じるしかないので、会場を散策する。



すると早速さっきまで撮っていたロボット一覧が張り出されていた。
ちゃんと全員分あるのに、なんか数字がずれているし、全部手書きで書き直されている。へ、ヘボい…(この会場内ではヘボいというのは最高の誉め言葉である)


しかも見てくださいよこのルール説明のパワーポイントを。





無料のアプリすら入れずに作ったであろう線の細さ、プリセットを感じる色使い、徹底されすぎてる。


そんな舞台上のヘボのさなか、隣に座られている方が大切に抱えてるロボットが気になった。

なにこれ。

緊張なのか赤いビロビロが震えている。説明が終わって準備をしている中で声をかけさせてもらい写真を撮ってもらうついでに話を聞く。どうやらこれは可愛いからという理由でわんちゃんとくまさんが挟まれてるらしく、とにかく可愛いさを自慢気に話していた。



でもこの”邪”な部分のことについて聞くと「まぁ、」とか「気づいたら」とか あいまいな答えしか返ってこない。作ってる途中で悪霊かなにかに憑りつかれてしまったのなら素直に言ってほしかった。助けられるかは分からないけど話なら聞くから。


悪の組織vs化け物


隣に怯えながら11試合目、とうとう我々の番である。
かなり設定を盛りに盛りすぎたせいで説明をちゃんとできるかハラハラしていてながら壇上に上がる。

解説(古賀さん)「なんだなんだ”どっちも”設定がすごそうだぞ」



どうしよう、化け物だ。

こちらとしては子供が作ったものに対して無様に負ける計算だった。そうじゃなくてもせめてなんか下手な大人の下手な工作に負けて「くそ〜!」って言う予定だったのに。こんなのは聞いてない。



恐い。

相手は薬局のマスコットのファンで、そのキャラクターの広報のために来たらしいが、言ってることと目の前に広がっている景色が違すぎる。
マスコットは戦わせたくないから、代わりに戦わせても良いものを というのがあちらの言い分らしいが、薬局出身の設定にしてはあまりにも目がギンギンしている。

一般的な常識が通用しない相手がこちらに害意を向けてるときに感じる原初の恐怖をヘボコンで感じるとは思わなかった。


試合はやっぱり動かなくて、勝手にボタンさんから引き抜いた小道具とかで押しても普通にパワーで負けた。

も~~~~~~~~~~~~。


お願いして撮らせてもらった

しかも、初戦敗退でもワンチャンある栄誉ある賞の最ヘボ賞はビロビロの反対側の隣に座っていた子供がとっていた。

も~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~。


個人的には楽しかったけど、動かないのはやっぱり悲しいから、来年ご縁があった人のために「こうしておけばよかった・・・」というの反省点をあげておこうかな。

・説明書は捨てない方がいい(写真撮っても画像ファイルに埋もれる)
・余ったネジとかパーツも取っといた方がいい
・当日は早めに渋谷にいた方がいい
・ヘボくてもいいやと油断しない方がいい(ヘボくないものを作ろうとしてもあなたが作ったものは70%でヘボくなる)
・衣装はこだわらなくてもいい(ロボットが主役だし、ファンアートはかかれない)
・お昼ご飯は食べた方がいい(お腹空きすぎて暴れそうになった)

来年こそは「勝ち」にいくのでね…みんな待っててネ♡

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