まっしろ

手に入らなかったものといわれてすぐに人の顔を思いあたるぼくたち。今日見た真昼の椿の白。

弓を射るすんぜんの肩のこわばり。膨らんで撓う月を隠す、雲は甘い。もしも狩人だったなら、暴力に無自覚なまま、自分の正義と正気を疑わずに、もっと自由に生きていけたろうに。

かんたんに、生きている人が許せなかった。こびりついたままの前髪をいやがりながら歩いて帰ったのは、許せなかったから。電車に乗ったらきっと、ぜんぶが許せなくなったろうから。だから歩いて帰ったの。

知らない間に引っ越したい、ぼくだって。知らないあいだに東京にいて、知り合いの伝で働いて、文学や音楽をわかるふりして、美術館にも行きたい、毎週べつの友達と遊びたい、みんな大事にしたい。

五本指ハムスター✌🏻🐹✌🏻