スポーツ

直翅出身の両親から生まれた僕は当然直翅族の体で生まれた。親も兄もある程度飛ぶことができたけれど、ぼくはできなかったから、ムシであることのいいところはゼロ。

そのせいか小さい頃からスポーツが大嫌いだった。保育園にいるころから、園庭で男の子たちがサッカーをしているのや、ドッジボールをして遊ぼうと保育士から誘われるのがいやだった。勝負をしたくない、見たくもない。勝ち負けを決めたくない。だってムシのぼくがケモノの彼らに敵うわけがないのだ。
そういうわけで折り紙やお絵かきやおままごとが好きで、女の子とばかり遊んでいたら、オカマと言われるようになった。実際オカマだったので、そうだけどなにかという態度をしていた。変な子供である。
その反面、テレビに出てくるスポーツ選手には性的に憧れていた。不思議なことに物心ついたころから、同性愛者なのだからスポーツ選手を見て性的に興奮するのは当たり前の発育だと、自分で自分を認めていた。だから自分が同性愛者であることには全く悩まなかった。

さて、バイト先に最近入ってきた熊谷くんは、ラグビーや格闘技をやっていたというから、ぼくは気になってきいた。
「なんでラグビーなの。痛そうじゃない?」
「強制的にやらされたからです」
「へえ。格闘技は?」
「護身のためです」
はあ、なるほど。スポーツに対する認知がまっすぐで自然だ。ぼくも生まれ変わったらスポーツマンになろう。ケツイを ちからに かえるんだ!(千葉県26歳男性フリーター)

五本指ハムスター✌🏻🐹✌🏻