パンはもとより固めてあるのではないか

サラダやスープに入っている
パンを四角く固めたようなあれは
どこにありますか。

たずねられてすぐ、ああ「サラダやスープに入っているパンを四角く固めたようなあれ」ね、はいこちらです、と売り場を案内したのだが、その日いちにち違和感が残った。

あれの名前だけ知らずにあれ自体のことを知ってる状態って、ありえるの……？

あれのこと知るとき人は、同時にあれの名も知るのではないの……？

むしろ名前のほうを先に知っていて、あとから実物を見るものではないの……？

要するに、名前のほうを知らないときはたとえ料理に入っているのを見かけたとしても、なにとは意識せずに口にいれてしまうため、わざわざ買い求めるほどそれを正確に認識することはできないのではないの……？

サラダやスープに入っているパンを四角く固めたようなあれという、的確な言い換えができているのにも関わらず、それを購買するまでに至ってもなお名前を知らずにいることなど、可能なの……？

というかそもそもパン自体が固められてるんじゃない……？

パンを四角く固めたというか、パンってもともと固まってない……？

パンってもともと小麦粉を練って固めてない……？

どこまでのことを「パン」だと思ってるの……？

パンになる以前の状態のものもパンと呼ぶタイプ……？

つまるところパンもパンを固めて作ったものということになるけど構わない……？

広義のパンをどう固めるかによって狭義のパンになったりサラダやスープに入っているパンを四角く固めたようなあれになったりするという理解で構わないか……？

それは逆に言えばサラダやスープに入っているパンを四角く固めて作ったあれもパンだということ……？

ていうかそもそもあれってパンなの……？

「パンを四角く固めて作ったような」と言われて「ああ、はい」と思うということは、私もあれのことパンだと思ってたの……？

意識下ではあれがパンだとは一度たりとも思ったことはないのに、無意識にパンっぽいなと思っていたということ……？

じぶんのことは
信じてあげてね。
せっかくじぶんで
生まれてきたのだから。
まちがっているときに
教えてくれるともだちを
大切にしたいね。