風孕み

音のでないようにそっと
両手で感情をさしだしました。
だんだん優しくなっていく、
だれもにらまずにすむ。
なくさなければならない部分
守ってあげられなかった。
穴だらけの体に風がくる、
もうすぐ春になる、
またやわらかくしてくれる。
はじめからぜんぶ嘘なら
果物を憐れむ用はない。
この木を枯らす。
この実の胤を抱え
各季節の風を孕む。
言い換えれば
それがわたしの天命。
音と文字だけを産む
わたしのかざあなから
なにもないばしょから。
粉々になるまで。

五本指ハムスター✌🏻🐹✌🏻