手遅れ

あのとき、憧れの対象だったのよ。
と、教えられたことがある。
ずっと、あとになってから。
手遅れ。

あとさきなく注がれるものを享受できるのは十代が最後だ。私はこの世にぼくのぶんはないと思っていた。涸れはてて私のぶんは残っていないと思っていたのに、あとから埋蔵金を知らされても。もうとりかえしのつかないことです。

りぼんでくるんであるのでも、
赤い毛糸でむすんであるのでもなく、
薄桃のゴム紐でぶらさがっているような
こ汚く安っぽい愛のこと。
まわりの子たちが騒いでいたのは、
そういうもののこと。
それでもよかったのだ。そこからたくさんのことを見いだせただろうから、あのころならまだ。

いまはゴムひもをいくら集めても
凶器を作ることしかできません。
じぶんのための。
そんなつもりはないから、
精選した絹だけを
なんとなくたぐって
週末のたびに
安心したり焦ったりしているんだよ。

五本指ハムスター✌🏻🐹✌🏻