おつつみします

年の瀬に品物を包むことが増える、ある日にはみっつ続けて包んだ、一升の日本酒、いちごのパック、りんごの袋。やってみれば一枚の紙でなんでも包めるもので、あああのとき教えていただいたおかげで、なんでも包めるようになったことに自信がでてきた。じぶんとしてはよくない出来でも、お客はとてもよろこんでくれる。心をこめてしたい仕事である。

さて、別の会社のスパイをしていると、同じように包んでくださいというお客がいる。しかし、この会社では包まないことになっている!
「すみません、そういうことはやっていないのです、もうしわけありません」
「あら、去年はやっていただいたのですけど」
「今年からいろいろやりかたを変えたみたいですよ、ほら、今年このお店名前が変わったでしょう」
「去年からこの名前でしたよね?」
「いいえ」
「そうかしら。去年からこの名前でしたよ」
「いいえ」
そこまでいわれると包みたい、おつつみしたい。私にやらせてほしい。

あるときなどは、包めません、おのしもおつけできませんとお答えすると「それなら要りません」といわれたこともあった、そういうことが何件かあった。贈答に買うものはふつう普段買うものでなく一段上等のものを買おうとおもうはずだから、たったのし紙一枚つけられない、包装紙一枚包めないだけで、販売の機会を損失していると考えるともったいない気もするな、そのための人員を割くよりそうしているあいだにも長蛇となるレジの待機列を捌くことに全人員を総動員するほうが得策であると判断したのはこの会社であるから、それもそれでおもしろい。

五本指ハムスター✌🏻🐹✌🏻