だめ

ランドセルの、ふでばこの、お道具箱の、なかみ全部だめだったのをふと思いだす。折れたえんぴつの芯がこなごなになってもちもののすべてをえんぴつのにおいにしていた。わたしの手もいつもえんぴつのにおいだった。だめにする。ものの扱いに気を遣るようになったのは、人ってこういうところを見て友達になるかいなか決めているのではないかとの憶測ゆえだ。

甘えたらいいじゃん、かついで帰るからいいじゃん、おしっこ漏らしたらいいじゃん、吐いたらいいじゃん、ぜんぶやってあげる、そういう言葉がいろんなひとをだめにしてきたんだ。ひとをだめにできるひとはいいにおいがする。えんぴつのにおいはしないし、もちものもきれいに扱う。

生まれつき手に入らなかったものが多いほど心は醜い。五臓六腑の黒いところ、洗いたい、ぜんぶ洗ってやりなおしたい。髪や肌といったそとみを同じ匂いにして寝ても、なかみがえんぴつのままでしかたない。それはだれと同じになったって変わらないし変われない。

もっと丁寧にしないと、前だけ向いて清くならないと、ずっと変わらない、もっとだめになって、みじめになる、しかもわたしだけが悪いことにされるえーん。ありのまま大事にされようと教科書には書いてあったのですケド。

五本指ハムスター✌🏻🐹✌🏻