褐色の円周

若くして亡くなった子の映画を見たあと、まだ子どもの顔をした男の子が次から次へとコーヒー豆をさばく手つき、深く切られたピンクの爪と褐色の前腕。ここに興味を持ってくれたのですかと言う声に恍惚してこのあと、湿った手をほどくときなんて断るのがいいか考えておくのや、今日の日記を書くのを忘れた。 これがコーヒーの輪郭。

心の鏡、汚い。
ぶさいくな顔、きれいな心。

「見えているよ」と嘘を言う。それだけで、涙を流してありがたがる人たちのこと、二度の儀式だけで崇拝する如く慕うという軽薄なのか敬虔なのか矛盾した人たちのこと、すこしどこかがおかしな人なのかもと哀れんだのを恥じる。

知らない国を歩いた日には、いつもの町も不安。
ここというのは、どこから測ってここなのか、いまというのはいつから数えていまなのか。

だんだん滲んで溶けてゆき、いつか形も方向もない光の痕になるまでが僕たちの輪郭。

五本指ハムスター✌🏻🐹✌🏻