皮膚疾患とはそんなもの

一か月ほどまえ全身が痒くなり、皮膚科に行った。医者に見せればきっと原因がわかるだろうと安心していたのは、過去三回の経験からである。

はじめて皮膚科にかかることになったのは夏、中学の帰り道。体育着の短パンから出た太ももが妙にかゆかった。蚊に刺されたかなあと思いながらぼりぼりかきつつ歩いて家についたら、右太もも全体が削ぐ前のケバブみたいにぶくぶくに腫れていた。
さすがにキショすぎて親もドン引いていた。
医者に見せたらそれは毛虫だということで、薬を塗ってすぐに治った。すごい。

次の皮膚科は股間。陰嚢と内股の接着面が異様に痒くて、だんだん変色して炙りトロみたいな色になってきたかと思ったら今度はゾンビっぽくなってきて、ゲル状の組織になって広がりはじめたから怖すぎて受診したとき。
ゾンビ化した金玉横の皮膚を、イケおじの先生がピンセットで採取し、顕微鏡で覗いてくれた。はじめて男の人にちんちんを見せたので、かなり興奮した。いんきんたむしだった。

最後に行ったのは三年ほど前、陰毛の生えている部分がありえないほど痒くてだんだん痒すぎて体が痙攣したり、失禁したりしはじめたので受診したとき。
先生は私の毛をピンセットで抜き、顕微鏡で見てくださった。イケメンの先生ではなかったので興奮はしなかった。
毛じらみだった。彼氏から移されたのである。マジで殺そうかと思ったがそれから一年ほど同棲した。彼は最終的に家賃を払わずに蒸発したが、妊娠した嫁と共に実家を継ぐために帰郷していることがあとでわかり、股間のかゆみと治療に費やした労力を思い出してはらわたが煮えた。
毛じらみには薬剤が効かないこともあるので、一番いいのは剃毛です。それで治ります。案外簡単に治ります。

今回もそんなふうに原因がすぐわかるだろうと思って診てもらった。若い女性の皮膚科医だった。彼女は私の皮膚を見て「うーん、なにかお薬飲んでないですか?」とたずねた。飲んでいません。それから全身を診てもらったが、先生はまた「うーん、お薬ヤッてないですか?」とたずねた。やっていません。
先生は机に向かってうーんと言い、私は椅子に腰掛けたままうなだれた。
「クスリヤッてないですよね」
「やってません」
ステロイドを出されて皮膚の症状は抑えられていったが、目がかゆかったり、まぶたが腫れたり、耳が痒かったり、陰茎がかゆかったり、全身がおかしい。僕ってなにか薬ヤッてんのだろうか。たすけて。

五本指ハムスター✌🏻🐹✌🏻