応募

新品の白衣、まえかけ、帽子、靴が用意されていて、名乗っていないのに名前で呼ばれた。ふつう、本名では呼ばれないので、驚いた。肉にラップをかけたり、値段をつけたりした。言われたところに言われたとおりに肉を並べた。それだけなのに全員から歓迎され、感謝された。

どこから来たのか、ほかにはどんな仕事をしているのか、どんな仕事が一番たのしかったか、どのようなシステムで私に報酬が支払われるのか、どういうふうに募集があってどういうふうに応募するのか、きかれた。そのお店では私のような応援者は初めてのようだった。

家に帰ってうどんを茹でた。たばこを吸った。ピアスの穴もおとなしくさせた。楽器を買いたいと思い浮かべてあきらめた。できないから。ギターの弦を指でおした。

才色兼備の人が文字におこした憂鬱をみて爽やかな気持ちになる。私はきれいである必要などない。私は書く。

「ぼくはあなたの求めているような条件を満たさないと思います」

五本指ハムスター✌🏻🐹✌🏻