かえりうち

なにのことも、だれのことも、そんなに好きじゃない。この星のことも、私のことも、体のことも、心のこともそんなに好きじゃない。なにかのことを、だれかのことを、たいせつにできる人はすてき。すてきなひとをたくさん見ている。雨で溶けおわった景色が窓のむこうでとつぜんはっきりと輝きだす。うらやましい。死後ださい幽霊になって祟りそう。

はじめてのことはなにも残っていないのだと、荒川になって流れた遠い町の光が教えてくれた。脛を雫が下っていくのを感じた、汗だった。だいすきになってきたよとかいう嘘が、おまえにはわかる、ぼくよりずっとたくさんのことを生きているからね。都会だ。

はたらいてきた悪事はすべて鍵のかかる場所にしまってある。選ばれなかったとき、傷つきそうになったとき、封を解いて、じぶんでおりこうになる。そうでした、ぼくは悪いことをしたのだから、その罰で、しかたがないのでした。

五本指ハムスター✌🏻🐹✌🏻