烙印

ひともじずつ捺されたちいさな馬と鹿が、すこしずつ肌色にほどけていく過程を鏡のまえで鼻歌にする、助けあっているという錯覚。きょうは手の震えがある。

友達って一種の関係妄想だとおもう、巣からとびだす燕尾がかすかに動いているのをみて安堵。風が気持ちいい遅刻。生きててくれなきゃ困る。

家族で相談して生まれかわるために薬を飲んだ。

脳裏に焼きつくような文言。つくづく人というのは……。夏のはじめということもあり、プラスの『ベルジャー』の冒頭を彷彿する。電気椅子にかけられたローゼンバーグ夫妻のニュースが頭から離れず、この季節特有のあらゆる有機物の循環が早まったようなにおいに、想像上の焦げくささを重ねるという、最悪な始まり方をするのがあの小説である。

叫んだり喚いたりする子供のような力でやっと体を起こして、良いと思うことをしたり、言ったりするのに、すべて首の二文字に集約される。本当に大切な人にはこんなことしない。
「今はうれしいけど、人生は今だけじゃないから」

五本指ハムスター✌🏻🐹✌🏻