わあひかり

うわべだけのほほえみがわたしだけれどもぶきよう、必要なときできない。黒く汚れた心のぶぶんを切りとるんだけれどもぶきよう、きれいなぶぶんまであっ、また切っちゃった、治療するたびに本体が減ってるよねもだめかも。 

きみのたばこを一本もらった。
風と指のつめたさ。
灰がちになったぶんから雨に滲んでいく先端の葉。呼吸にあわせて明滅する、白く乾いた羽根になって墜落する蛍かわいいよ。生まれてはじめてよかった見れて。

きみの器用な手が音をだすのを画面で見る。
そのときぼく、大きな手にすがっていた。何百人何千人産んだ手。ひとの手に輪郭を定義してもらうことでしか翌朝鏡を見ることすらできないみじめ。だめだったことぜんぶぶどう味の煙。なにもできないなにも産めないだれも定義できない無力なぼくの手。

きみの白さとぼくの白さを叩きあわせてさようなら、わあひかり。雨でも星でもないやさしいやさしい光の粒が、離れていく手と手のあいだの空気にまたたく。信じてね信じますから。
生きてありがとう。

五本指ハムスター✌🏻🐹✌🏻