ちぎれたもの

ブレーキを握ったら右手になにか違和感があった。え？とおもって怖くて手を離した。足をついて停止。

え？とおもってもう一度握った、妙な手応えがある、このかんじはなにかに似ている。え？とおもった。また握ると、似た感覚を想起した、ニッパを握ったときだ。え？と思ってゆっくり握りしめるとぷつんといって、ブレーキレバーとブレーキとを繋ぐワイヤーが切れた。いい天気だった。

夜になって自転車を家まで連れて帰ると急に悲しくなり48時間寝た。

おさななじみのランダウリフシッツくんから連絡
「ごみ拾いしてるママと会ったよ」
え？とおもって、母に電話をかけた。

「家のまわりだけよ」
と母は言った。

家のまわりをするついでに、よその人の家のまわりは失礼だからやらないけど、駐車場のところとか、たばこのすいがらがあって、したを見たままたばこのすいがらをたどって、あここにも、ここにも……と思ってあいてたら保育園のところまで着いちゃった。

遠くにいたんだよね、ランダウリフシッツくんかどうかわからなかったんだけど、こっちを見て会釈をしてたから、やっぱりそうだったとおもって。

あとからランダウリフシッツくんに尋ねたところ母は、母を迂回して駅に向かおうとしたランダウリフシッツくんを追いかけて駅に現れたらしい。

「ばあさんすぎてごめんね」と私は謝ったが、町の治安を守ってくれている、いいことだとランダウリフシッツくんは言った。

小目標、ちぎれたものをつなぎなおす。