骨と石と肉

鈍行から見下ろすひとさまの庭。
熱くて塀から溶けだしたような零れ花。
あれは八重である。
どこも似たような環状路には
長い車や短い車。
狭い道みち、小さい家いえの
模様に切りとられた日差しの絵。
のどかな昼にも救急車の赤。

骨を見た。
化石を買った。
化石屋がきれいな化石のことを「おさしみにみえる」というからである。
アンモライトの表面は
赤だの青だの緑だのと欲張り。
鱗や鱗のあとの肉のそらに。
魚の肉の表面のあのあぶら。
私の体も7500万年後、だれかの手のなかで骨とも石とも魚の肉片とも呼ばれるのなら、もうどんなさいごでもきっと少しもさみしくはなかった。

五本指ハムスター✌🏻🐹✌🏻