肉塊
肉の塊を大きくしすぎて中心までタンパク質を変性させることが可能か怪しかったが、焼きおおせた。
感じていることを言葉にすることがだんだんできなくなってきた。必要のなくなった器官が退化して萎んでついには胴体に吸収されてなくなるのを想像する。
こうしてだんだん、人間ではなくて、ただ肉塊になっていくのも涅槃への過程だとおもった。ひとつひとつの機能が終わってゆくときの苦痛も言葉がなければ言い表されないのだから、他者にとってみれば些細なことだ。
言葉があったとしても、だれかがわかってくれるともかぎらない。失われてもあたりまえの器官なのかもしれない。もともと動物にはないものを人間が持ちすぎているだけで。
捏ねられ丸められ焼かれた肉塊を嬉々として自分の肉のようにおもっているくせにわたしたちはというと、だれの肉にもならずにじぶんだけで空にのぼりたいという。
五本指ハムスター✌🏻🐹✌🏻