オレンジフレーバー #4
明(朝の日差しが差し込む感じ)
ユウリ「おはようございます」
マスター「ああ」
ユウリ「・・・ちょ、ちょっと、確かに開店時間ですけど!」
マスター「ん?」
ケンイチロウ「それじゃあいいでしょうよ〜(ニコニコ)お邪魔しま〜す・・・」
マスター「お前か」
ケンイチロウ「どうも。昨日のオススメをまた頂こうと思いまして・・・(ユウリを見て)あと特製ホットケーキも」
ユウリ「もう・・・」
マスター「そうか」
ケンイチロウ「ええ、是非!・・・(また視線をユウリに)そして特製ホットケーキも」
ユウリ「・・・わかりました。ただのホットケーキですけど」
ケンイチロウ「え!タダ!?・・・そうか〜世の中タダより高いものはないっていうからなあ〜何で お返しをしたらいいかな〜」
ユウリ「そのタダじゃないですから。ちゃんとお金を頂きますから」
ケンイチロウ「あれ?そうなの?」
ユウリ「第一、どうやって返す気ですか」
ケンイチロウ「そりゃもう、この自慢の身体で」
ユウリ「(食って)結構です」
ケンイチロウ「まぁ、そう言わずに。僕だって何も考えてないワケじゃないんだよ?」
ユウリ「そうですか(聞き流して奥へ)」
ケンイチロウ「(わざとらしく大きな声で)あ〜聞いてないでしょ〜?(一人になったことを確認)...さて」
マスター「...何やってるんだ?」
ケンイチロウ「あー...実は...だいぶ前に来たことがあるんですよ。なんか懐かしいなー、と思いまして」
マスター「...そうか」
ケンイチロウ「お、いい香りが」
マスター「ああ、熱いうちに飲めよ」
ケンイチロウ「(カウンター席に座り、とことん大げさにカッコつけながらわざとらしく)いただきまーす...まずは じっくりと香りを楽しむところから」
ユウリ「出来ました...よ」
ケンイチロウ「んん〜この香り、深い、深いな。深い中にそよ風のように香ばしいこれまたいい香り が...美しい草原の中に立つ一本の木。まさにそれか...」
マスター・ユウリ「......」
ケンイチロウ「そしてその深みにハマるようにまずは一口...んん〜!!(ひとしきり唸ってから)また 深みにハマる僕!身体に染み渡るこの黒い、そして美しい液体!あぁ、僕が...僕が侵されてゆく (流れによってはアドリブで)...ん?何やら甘い香りが...(ホットケーキに気づき凝視)」
ユウリ「ゔっ...(悪寒)」
ケンイチロウ「ん〜これもまた素晴らしい」
ユウリ「何の変哲もないホットケーキなんですけどね」
ケンイチロウ「(ひとくち食べて)この味は...何故だか昔の思い出が沸き上がってくる」
ユウリ「たぶん子供の頃に食べたことあるんじゃないですか?」
ケンイチロウ「懐かしい...うん、懐かしいな」
ユウリ「それなら近くのサツドラ(北海道の薬局「サッポロドラッグストア」の略称)に売ってますよ...」
ケンイチロウ「きっとそうだ、きっとこれはきっと君が作ったということがきっと素晴らしい調味料の役割をきっと 果たしているにきっと違いない!!」
ユウリ「きっとが多すぎて自信がさっぱり伝わらないんですけどね...ていうか何て言ってるんですか?」
ケンイチロウ「(とても清々しい表情で汗を煌めかせながら要するにつまり一言で申し上げると)おいしい!!」
マスター・ユウリ「......」
ケンイチロウ「このコーヒーにホットケーキ...合うなぁ...」
ユウリ「(小声で)まさか」
ケンイチロウ「きっと」
ユウリ「(思わせぶりなこと言いやがって!!みたいな)」
ケンイチロウ「あははは、ゴメンゴメン...でもきっと(ここはボソッと本気モードで「君で間違いない」)」
ユウリ「なにか言いました?」
ケンイチロウ「いやいや、なんでもないよ。それより...マスター。」
マスター「何だ?」
ケンイチロウ「マスターっていつからここで?」
ユウリ「え...」
マスター「そうだな...もう 20 年以上は経つ」
ケンイチロウ「20 年も...1 人で...?」
マスター「...ああ。」
ケンイチロウ「...そうですか」
ユウリ「...」
マスター「...今はユウリがいるがな」
ユウリ「マスター...」
ケンイチロウ「...そうですか」
マスター「何故、そんなことを気にする?」
ケンイチロウ「そりゃあ...気になりますよ〜一体いつからあるのかな?って。ね〜?」
ユウリ「(ムッ)...」
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