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STUDY:シティポップとは何だったのか?

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STUDY:シティポップとは何だったのか?第1回

STUDY:シティポップとは何だったのか?第1回

インド渡航を明日に控えた人のnoteではないのは分かっている。

インドに行って何かを喪失しそうな、もう以前の自分に帰れないような気がしてならなかったので、以前の自分がずっと考えてきたテーマを完結させてやろうじゃないかと、この一週間ひたすら机に向かって書き上げた文章。シティポップー。その言葉にとらわれてきた半年間、これを書くことで、自分の中のブームを終結させようとしていた、が…より悪化してしまった

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STUDY:シティポップとは何だったのか?第2回

STUDY:シティポップとは何だったのか?第2回

2虚構のジャケット シティポップの定義「歌謡曲とニューミュージックの融合した先にある音楽」は、音楽性の問題であった。少し狭い。一方レコードコレクターズの定義は、「都市との関係性を描く曲」であり、少し広い。ここで登場するのが、「イメージ」の問題だ。冒頭でも述べたが「シティポップ」がどんなメロディをしようと、何を歌おうと、先行してしまうのは「イメージ」なのだ。そしてそのイメージを最も形作るのが、ジャケ

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STUDY:シティポップとは何だったのか?第3回

STUDY:シティポップとは何だったのか?第3回

 まず、ここまでの整理をしよう。シティポップは「歌謡曲とニューミュージックが融合した先」にある音楽ジャンルであり、主観的なイメージが影響する虚構の都市が舞台になった。というのが簡潔なまとめ。

 さて、さきほど後回しにしてしまった、角松がリゾートサウンドからダンスミュージックに振り切ったことに関してについて。初期三部作と比べて圧倒的にダンサブルなサウンドでベースラインを強調した「都会的」と称賛され

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STUDY:シティポップとは何だったのか?第4回

STUDY:シティポップとは何だったのか?第4回

4 現代によみがえる 虚構の虚構 冒頭でも指摘したテーマ、「プラスチック・ラブ」を発端にして広がったシティポップ・リバイバル。Youtubeに投稿されている多くのシティポップは、大体の場合コメント欄が英語で埋め尽くされている。このブームに一役買っていそうなのが、シカゴのDJ、Van Paugamである。

 Youtubeライブで24時間放送中の「City Pop シティポップ RADIO」は常に

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STUDY:シティポップとは何だったのか?第5回

STUDY:シティポップとは何だったのか?第5回

5なぜ、今シティポップ? ここで普遍的な問いが登場する。「なぜ、今シティポップ?」

 今までは4章にかけて、シティポップの実態とイメージ、そしてリバイバルブームの特徴を説明してきたが、理由について触れたのは少ない。特に今回は海外を中心に考えてみると、理由らしい理由はいくつか考えられる。

 一つ目は先ほども書いたように、AOR系ロックの再評価に付随してAOR系歌謡曲であるシティポップを好む耳を持

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STUDY:シティポップとは何だったのか?第6回(最終回)

STUDY:シティポップとは何だったのか?第6回(最終回)

6 シティポップとは何だったのかー 結論? ここまでシティポップをはじめとする様々な流れを見てきた。シティポップは「歌謡曲とニューミュージックの融合した先にある音楽」であり、「虚構の都市」イメージが付随した。昨今の再評価とFuture Funkの登場には虚構性という共通点があり、流行の理由としてはいくつかの要因が考えられる。

 今回提示したテーマのキーワードは「虚構」だろう。「シティポップ:主に

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