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吉野スギのオリジナル祝い枡の話

TONBIYA WORKSの枡

枡 5勺【飲み口加工】【鹿ロゴ】【底桜刻印】

普段は丸いコップに慣れている私たちが四角の枡で飲むと、口の横からこぼれてしまうことはありませんか?
TONBIYA WORKSの枡には口をつける場所が初めから斜めにカットされています。
この角を斜めにカットすることで、口元が小さな方でもこぼれずに飲むことができるので、立派なお召し物をまとうハレの日のイベントでも洋服を汚すこともありません。

この飲み口をつくるアイデアは、お客様と話をしている中で「口からこぼれにくい枡が欲しい」とのことから開発しました。口を当てる角度、広さもいろいろ試して現在の形になりました。飲みやすく、枡としてのデザインも損ないません。
枡に馴染みがない人も飲み口をつけることで、どこから飲めばいいか分かりやすいと好評です。

枡を上から覗くと桜の模様が内側の底に描かれています。枡に使われている木の産地吉野は、桜でも有名な観光地です。春になると桜の木が山肌をピンクに染めます。「下千本」「中千本」「上千本」「奥千本」と4つのエリアに分かれていて長い期間桜を楽しむことができます。お酒を飲みながら吉野の桜に思いを馳せていただきたいとの思いもあって桜をデザインさせていただきました。

そして、表面に彫られている鹿のデザイン。奈良といえば鹿。奈良市内でもそうですが
吉野の山にももちろん鹿がいます。

奈良の鹿は神の使いとも伝えられてきました。日本古来も鹿を「禄(ろく)」と発音することから縁起の象徴としても知られています。

奈良らしい鹿と銘木としても有名な吉野スギ。奈良を象徴する鹿の刻印。五感で奈良の気配を感じて頂けます。

枡の歴史

お酒を飲む時に使うイメージがある枡ですが、もともとは物を測る道具として日常で使われていました。

一杓、一合、一升、一斗、一石、一俵
昭和34年に法改正で国際的な単位を使うように定められるまで、上記の単位でさまざまなものが取引されていました。
• 一杓はヒシャクで掬った一杯の単位で、容積でいうと0.018リットルです。
• 一合は一杓の10倍分なので容量は0.18リットル。重さでは150gです。今でもお米を炊く時に使われる身近な単位ですね。
• 一升は一合の10倍分なので容量は1.8リットル。重さは1.5kg。日本酒の一升瓶として日常に使われています。
• 一斗は一升の10倍分なので、18リットル。重さでは15kg。油やペンキなど一斗缶に入って売られているのを見ますね。
• 一石は一斗の10倍分なので、180リットル。重さは150kg。時代劇で時々聞きますね。1石は1年間に一人が食べるお米の量です。1日で3合食べる計算なので、ご飯6杯分。江戸時代の人は結構お米を食べていますね。
• 一俵は一斗の4倍で重さの単位です。約60kgで一人の人が持ち運べる重さだそうです。

日本最古の枡は奈良の平城京跡近くから出土しています。持統天皇の時代に「大宝律令」で量るという概念が提唱されたため、1300年ほど前から枡が使われていたと言われています。枡は中国や朝鮮半島から伝承されたとされており、平城京跡近くから発掘された枡は、コップのような形をしています。その後、木製の枡が主流となり日本独自の文化として四角の形をした木の桝へと発展していきました。

地域や時代によって大きさが異なった枡を全国統一したのが豊臣秀吉です。その頃は京枡の「方4寸9分、深さ2寸7分」の大きさが採用されましたが、江戸では「5寸、深さ2寸5分」が用いられ「江戸枡」と「京枡」が混在するようになりました。

大名の力が「百万石」のように米の収穫高で表すようになると京都と江戸にそれぞれ設けられた「枡座」によって制作から販売まで厳しく管理され「京枡」で統一されることになりました。

明治時代にメートル法に完全移行することで、枡は計量器としての役割を終えました。

桝の種類

お米を炊く際の計量器として使えるほか、結婚式や還暦祝いなどのハレの日に贈り物として贈られることもあります。「ます」という言葉の響きから「福が増す」「益々繁栄する」という吉兆の意味で送られます。
また、お酒を飲むコップがわりに使用したり、節分の際に豆を入れる入れ物にしたりと使い方もさまざまあります。
最近では、文具を入れたり、スイーツの器として使われたり、多肉植物を入れて植木鉢がわりに使ったりとさまざまなアイデアで使用されています。
居酒屋で枡の中になみなみに日本酒がコップに注がれた受け皿として桝が使われることも。
枡でお酒を飲むとスギのいい香りがしてお酒がすすみます。

枡のある生活
木製の食器を使わなくなった現代では、どのようにお手入れをすればいいかわからない方もいるかもしれませんね。

  1. 使用後はすぐに水洗いをします。枡の内側と飲み口を水でさっと洗い流します。スギやヒノキの持つ本来の殺菌力を生かすためには洗剤や熱いお湯を使用しなくても大丈夫です。

  2. 汚れが落ちているか気になる方は、洗剤の代わりに塩や重曹を使います。口に入れても安心で殺菌効果もあります。

  3. 長い時間水に浸すこと、食器洗浄器はNG。食器洗浄器のような急激な乾燥や長時間水に漬けると木が変形します。

  4. 洗った後は乾いた布で水気をよく取り、風通しの良い日陰で自然乾燥させます。

丁寧に扱うと何年も使うことができます。また、使い込んでいく経年劣化もよい味となって楽しんでいただくことができます。


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