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2016年夏、ドイツで ①

 2016年の夏休み、1ヶ月間北部ドイツに短期留学に行った。あれから4年も経つのだが、私はまだあのときのドイツの匂いを忘れられない。今すぐにでもドイツに行きたい気持ちを抑えて、数回に分けて思い出を少しだけ書いていこうと思う。

 ロストバゲージは、本当にある話です。全くいい加減にしてほしい。でも実際どっかに行ってしまうのだ。誰だ、私の荷物をどっかにやったヤツは。空港の手荷物受け取りのゲートで、待てど暮らせど出てこない私の赤くて重たいスーツケース。思えば、最初から妙に嫌な予感がした。そういえば、乗り換えのアムステルダムで急にゲートが変わったし、しかも到着時刻が予定より少し遅くなったせいで、私は一緒に来ていた親友とアムステルダム空港を爆走せざるをえなくなってしまった。あと30分しかないんですけど?!しかも、馬鹿でかい空港の端から端までの移動だなんて聞いてないんですけど?!我々ははぐれないようにしっかり手をつないで走った。ひたすらに走った。こんなに人と堅く手を繋いだのはほぼ初めてかもしれない。その前に繋いだ記憶は、高3の体育祭で踊ったフォークダンスで最後だ。そんなことより。初めて降り立った外国の空港で、トレードマークのミッフィーだって私たちのことを待ち構えていたのに、ちら見することしかかなわなかった。私たちが出国前に何をしたって言うのさ。お利口な大学生の私は出国直前まで、いや、行きの飛行機でもレポートをやっていました。そんな、業にも程遠いでしょうが。

 というわけで、息も絶え絶えトランジットを済ませた私たちだったが、荷物はそうではないようでした。ご主人様のあとを着いてきなさいよ。ともかく、空港に迎えにきてくれていたチューターを出国ゲートの外で30分待たせ、何とかロストバゲージなんですけど??と受付に文句を言いにいったが、そこのお姉さんが全然親切じゃない。荷物を整理してたいかついおじさんの方が親身になって探してくれた。とにかく、見つけたらすぐ連絡してよね、と電話番号を書き書き、やっと外に出た。大きな街の中心地まで地下鉄で行った(と思う)が、なんだか座席が広い。そうですね、足の長さが違いますから…。

 街についてホテルを探した。17時を少しすぎたところだったが、すでにホテルの従業員は帰ったあとで、宿に入れてもらえなかった。安いホテルだったし、17時までの受付だったからたしかに仕方がないのだが、ドイツ、堅いな。その日はチューターの実家に泊めてもらった。すごくいい人たちで、最寄りの駅まで迎えにきてくれたばかりか、朝ごはんまで食べさせてくれた。お礼、ちゃんとできなかったな。あと、初めて迎えたドイツの朝が寒すぎて凍えるかと思った。多分10度もなかったんじゃないかな。暑いより寒い方が好きだけど、半袖で10度には耐えられないのよ。次に行くときは絶対に長袖を一枚カバンに入れておくと決めた。

 ともあれ、一日目から大波乱だった。泣かなかっただけ成長したというものだ。昔、地元のほぼ毎週行っていたスーパーでさえ母親とはぐれるのが嫌でくっついて回っていたのに、初めていくところで荷物もなく宿もなく、そんな状況で泣かないで朝を迎えたのだから大したものだ。よくやった、私。

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