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藤原辰司 内田樹 他「「自由」の危機 息苦しさの正体」

藤原辰司 内田樹 他「「自由」の危機 息苦しさの正体」読了。

2020年10月、菅総理大臣が日本学術会議の6名の人文系学者の任命を拒否。

任命されなかった6人は安全保障関連法や共謀罪を創設した改正組織犯罪処罰法に反対の立場をとった学者たちとされており、「学問の自由への政治介入だ」との批判の声があがっている。…

今回の日本学術会議の例に照らせば、国立大学で学内選考された学長候補の任命を精査、拒否できるという、国立大学の教職員が国家公務員だった時代でさえ控えていたことが可能になる。

拒否の理由を明らかにせず、内部資料も非公開で、波紋を呼びました。

政府が文書の存在さえも明らかにしないまま不開示の決定をした一部の文書について、決定を取り消すべきだとした。

学者たちは「国家の学問への介入」と猛反発しましたが、一般人にとってはそもそも「日本学術会議」自体に馴染みがなく、その問題点があまり理解されなかったよう。

私自身も、政府が気に入らない学者を外すのは問題だ、程度の認識でしたが、本書を読んで、政府がなぜ日本学術会議に揺さぶりをかけたのか?が分かりました。

どうやら、今後大学で軍事研究をやらせるために、かねてから批判的だった日本学術会議の人文系学者を狙い撃ちしたようです。

研究開発の「軍民融合」を目指す政府の動きが加速している。

「軍事研究はしない」としてきた日本学術会議に対しては、第三者が新会員を推薦する仕組みへと同会議法改正を目指す。

一方で、防衛費倍増に関する政府有識者会議は報告書で、大学内外に軍事研究のための「特別の場」をつくることなどを提案した。

戦時中の軍事協力への反省から研究の「軍民分離」は長く続いたが、もはやその壁は壊されようとしている。

大学で軍事研究を行わせるために、政府は「デュアルユース(軍民共有)」を謳っていて、たとえば電子レンジやGPSのような、もともとは軍事研究だったものが民間に転用されて便利に使われることもあることを理由に、軍事研究を解禁させたいらしい。

ただ本書によると、そもそも電子レンジやGPSの技術は軍事機密の頃はみながアクセスできなかった分開発が遅れたとも言え、最初から国が基礎研究にお金出せばいいんじゃないの?となるようです。

日本はもともと研究に税金を投入したがらず、軍事研究にすれば予算が増えるため、理系学者の中には「研究ができるならなんでもいい」という人もいるようですが、軍事研究は機密事項だから発表できないし、研究後もマークされたりする危険もあるようです。

自民党はどうしても戦争ができる国に日本を作り替えたいのだと感じ、恐ろしくなりました。


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