大好きだったから、彼と別れることを選んだ
先日、大切な恋人が居る、と書いたばかりだが、
今日、その人と『恋人同士』でなくなった。
自分で決めたことだが、自然と涙が溢れてくるので、今の感情を文章化しておこうと思う。
人生の夏休みを貰った、この入院期間中、色んな本を読んで、そして色々な人と話した。
時間を持て余すことなく、自分の人生について考えた。
その結果、決めたことが3つ。
①今の仕事を辞める時期を決める
②自分が今後、自分の幸せのために、本当にやりたいことをはっきりさせること
③地元に帰って、結婚・子育てが出来たらいいなということ
私は今、大学をきっかけにそのまま就職して、
全く身寄りのない土地にいる。
しかも私は一人っ子だ。
いずれは、親のいる地元の都道府県に帰りたい。
そして相手は生粋の地元民で、オマケに県の職員でもある。安定志向の彼は、今の仕事も今いる土地も、離れることは決してないだろう。
結果として、いつかは地元に帰りたいのなら、
今の恋人といずれは必ず別れなくてはならないということ。
そうと決まれば、人生の旬な時期に、そんな私のわがままで彼を縛ってはいられない。彼にも、私なんかよりいい人を見つけて幸せになって欲しいと、心から思う。
早めに今後について話そう、と思い、その日を今日にすることを選んだ。
結果的には、『彼氏彼女』という縛りを捨てて、私が地元に帰るまでは、信頼出来る自由な友人として互いに支え合う関係になるところに落ち着いたので、関係の名前が変わっただけだ。
結局のところ、距離感は今迄とさほど変わらないだろう。人肌が恋しければ温もりを貸すし、一緒に出かけるし、困った時は相談にも乗る。もともと会う頻度も多くはなかったし。
大きく違うのは、『互いが、もうあなただけのものではなくなる』という縛りだけ。
何も今日別れなくても良い気がしたが、今日、関係性を変えることを私たちは選択した。
恋人としての彼は普通ではなかった。変人である。
1年4ヶ月付き合っていたが、多分会った回数は50回強くらい。泊まりはたった3回。最後に泊まったのは、確か去年の11月だっけ?もう1年経ちそうだ。
彼が一人暮らしをしようと言って契約したアパートは4ヶ月くらい空き借りしてて、一向に実家から引越しして出る気配はないし、その新居に、彼女である私を上げる気がないと言われた。
全くなんなんだよもう。
しかし、いくら文句を言えど、今日の最後のデートで思ったが、私は彼が人として、恋人として大好きで、彼も私のことが大好きだった。
私から提案して付き合って、私から、終わりを告げることになってしまったので、彼のことを散々振り回してしまったことになる1年4ヶ月。
しかし、彼が居なくては私はここまで成長できなかったし、私の人生にとってはかけがえのない1年4ヶ月だった。
こんなに身勝手な別れ話を、最後まで笑顔でうんうんと聞いてくれて。
『薄々地元にいつか戻るんだろなと考えてはいたからね、その時期が早まっただけかな』なんて、サラッと言う。
『仕事でも、自分のためでもなく、この土地にいる理由が"僕"だけなのであれば、鱗さんの将来のために、一日でも早く、決めるべきだ。鱗さんのキャリアを一番に応援するよ。
でも、地元に帰るまでは、鱗さんも、会いたくなったらいつでも言ってね。僕、いつでも来るから。』
と、悲しい顔なんて一切見せずに、快く私の背中を押して、最後まで私のことをあったかく応援してくれた、優しい人。
いつもなよなよしてるのに。こういう時だけたくましいね。
でも。
帰り際、「じゃあね。」って言う時。
彼が手を伸ばして来ていつものように抱き寄せられた。
私が大好きな、大好きな彼の匂いがする。
いつもより数倍強く抱きしめる、背中に回された腕。
自由な友達になったんだから、ハグだってそれ以上だって、またいつでも出来てしまうはずなのに。
私をこんなにも大切に思ってる人を、こんなにも優しい人を、傷つけてしまったはずなのに。
彼はそんな側面ひとつ見せずあたたかく私を応援してくれている。と、同時に、彼も『彼氏としての最後の甘えられる瞬間』を噛み締めている。
そんな彼を好きになってよかったという気持ちとか、申し訳ない気持ちとか、やっぱり大好きという気持ちとか、今まで本当にありがとうって気持ちとか、色々押し寄せてきて、彼の腕の中で泣きそうになった。
それを察したのか、彼がいつものように脇に手を回してくすぐってくる。
「くすぐったいよ〜笑」と思わず笑顔になって、
彼の腕から逃げるように身体が離れた。
彼の顔を見ても、それでも悲しい顔はしていない。こんな時まで、私を笑顔にさせる余裕がある。
「ねえ、見て私の顔、こんなに涙溜まってる笑」と言ったら、
『流すのはドアを閉めてからね。』
と言われ、仰せのままにグッっとこらえた。
彼はさっぱりと、ドアを閉めて帰って行った。
今日のデートで、彼が自分から言ってくれた、
初めてかな?と言うくらいに珍しくて貴重な、
ストレートな愛情表現。
『この前会ったのっていつだっけ?入院前の。
1ヶ月くらい経ったっけ?』
「いや?28日だから、3週間くらいじゃん?
なに〜、会いたかったん?」
『、、、、うん、ずっと会いたかった。今日会えて嬉しい。明日から仕事頑張れる。』
………………
「ね、私の好きなところ3つ言ってっていう、だるい質問していい?」
『だるいねえ、やだよ笑
好きなところねえ、、、、3つ答えるのはだるいけど、全部かな。』
「よくそんな恥ずかしいことを真っ直ぐ言えるね?」
『だって、、嘘じゃないから。でも、恥ずかしいから今、顔見ないでね。後ろ振り向かないでお願いだから。』
最後に貰う、彼氏としての愛情表現は、
私がどんな言葉を言っても勝てないほどに、贅沢すぎた。
彼は軽はずみに『好き』『特別』『可愛い』なんて絶対言わない人で、彼からその言葉を自主的に言われたことは多分1度もない。
でもその分、いつも行動や他の言葉を上手く使って、私のことが大切だと、私に分かるように伝えてくれるのだ。
こんな風に言ってくれた人に、今日の話をするのは本当に心苦しかった。
直接言葉にして彼に言ったけど、
こんなに人として、中身を好きになった人は初めてだったよ。
彼氏としての最後の最後まで、こんなにかっこいい性格の人、そうそういないよ。
あなたの事を好きになって本当に良かった。
好き、よりも大切な存在だよ。
また明日から、新しい私でよろしく。
私も、いつでもあなたの味方だよ。
一番大好きな人。身勝手だけど、どうか、
どうか幸せになって。
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