裸の自分

  綺麗に梱包されていない自分を見せるのが苦手だ。お酒の席ではどこまで行っても私は正常ですという仮面を被り続ける。誰かに本音を伝える時には、必ず想定問答集を練り、どんな回答が来ても素肌は見せない準備をする。初対面の人には、気の利いた兄ちゃんだと思われるための動きを見せる。
 きっと傷つくことが怖いんだと思う。友人に嫌われたくない。内側の自分を否定されると、自分が自分を認めてあげられなくなってしまう。外側の自分で生きてきた時間が長すぎて、今更キャラも崩せない。唯一無二の“本当の”自分がいる論者ではないけど、見せたくない自分は確かにここにいる。ただこの認知を、文章に起こせるようになったのは成長かもしれない。きっとプライドとか、ダサいへの価値観とか、自分に課していた縛りが緩くなった結果だと思う。

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