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美しく無い姉も美しい『シンデレラ』

子供にお姫様ブームが到来。
なかでも、ディズニーのシンデレラに夢中。
DVDを繰り返し鑑賞し、七夕の短冊には「おおきくなったらシンデレラになりたい」と書き、オモチャのティアラを身につけて、シンデレラごっこに余念がない。
保育園のお友だちの多くも、アナだったりエルサだったり、美女と野獣のベルだったりにそれぞれ夢中になっているらしく、推しのグッズや洋服を身につけている子が結構いる。

で。
ディズニーは嫌いじゃないですし、ディズニープリンセスも結構だと思いますが、白雪姫もシンデレラも眠り姫も人魚姫もアリスも、全てディズニーに集約されてしまうと言うのはちょっと面白くないのです。
いろんな国で生まれて、長年たくさんの人に愛されて、様々なバリエーションがあるそれぞれの物語の、バリエーションのひとつがディズニーの作品たちなのですよ、ということを、どこかで理解してもらえたらうれしい。
あとはDVDをいちいち再生しなくても、シンデレラの物語に触れられるようにしてあげたい。
ということで絵本です。

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宇野亞喜良氏のシンデレラは他にも出ているようですが、表紙とタイトルが王道で幼児にわかりやすそうだったので、この本を選びました。
やや古風で流れるような文章に、70年代風味のドレスでお洒落したシンデレラと姉たち。
美しいシンデレラや仙女の描写はもとより、姉たちの描写が秀逸です。
「美しく無いいじわるな」姉たちの、絶妙な「美しくなさ」。身も蓋もないくらい美しくなく描かれているけれど、現実にいそう。
キャラクターとしては美しくないかもしれないけれども、「絵」としては美しいのです。

主役のシンデレラが「絵」として主役のページは案外少なく、描かれていても伏し目がちだったり姉たちより小さかったりする。
その分、変身した時の清楚なドレス姿が際立ちます。大胆な大きなリボンが素晴らしい。

サラッと読み聞かせるにはちょっと文字の分量が多く、
「この本読んでー」
と言われると、ウッとなることもありますが、コドモは気に入ったようで頻繁に読んでくれとせがんできます。
そして、お絵かきの時も大きなリボンのシンデレラを描いている。
コドモの中の「シンデレラ」に広がりが出来たかな、と思います。


『シンデレラ』(作: 奥本大三郎 絵: 宇野亞喜良)
ISBN-10 : 4097262327
ISBN-13 : 978-4097262329
出版社 : 小学館 (2007/3/30)
発売日 : 2007/3/30



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