読んで良かった本6・7月部門

今回は小説多めなので内容はネタバレなしの薄めな感じです。



方舟(夕木春央)

今年読んだミステリーでは一番好き。
あっという間に読めてしまう面白さ。

内容はあまり言わない方がいいと思いますが強いて言うなら、湊かなえの「告白」に趣が近いかな。


風が強く吹いている(三浦しおん)

自分の趣味がランニングなので読んでみた本。
有名なだけあってやはり面白かった。

一番好きな節はユキの走りの描写のシーン。

風の音がうるさいほどに耳もとで鳴り、あらゆる景色が一瞬で過ぎ去っていく。もう二度と走りやめたくないと思うほど心地いいけれど、たった一人で味わうしかない世界に。

読んだ次の日は走りたくなったし、いつもよりだいぶ早く走れました。



まとまらない言葉を生きる(荒井裕樹)

マイノリティの自己表現を研究する作者の本。

「言葉」を大切に使って考えている人かどうかは、その人の文章を見れば大抵わかると思いますが、この本は終始それが伝わってきました。

書かれていることについて、社会学的な基本の考え方が個人的にはとても共感できるので読みやすかった。

一番好きな節はこちら。

ところで、こうした話をすると、「なんでもかんでも「世の中が悪い』って責任転嫁する人、困りますよね」といった反応が返ってくることがある。
こういう反応をする人に、ぼくは跳起になって反論するつもりはない。「こうした反応も出てくるだろうな」くらいに思っている。
ただ、ぼくが言いたいのは、こういうことだ。
田中美津さんの言葉と、「なんでもかんでも責任転嫁」という言葉と、ふたつを並べてみた時、自分が生きていくためにはどちらの言葉が必要だろう。
もう少し踏み込んで言おう。
もしも自分が苦しい思いを強いられた時、「自分で自分を殺さないための言葉」はどちらだろう。



闇祓(辻村深月)

終盤まではまあそこそこかな〜と思っていたら、、、という感じの本。

辻村作品の中では娯楽性に富んでいるわけではない方ですが、かなり秀逸な一冊でした。

あまり内容を書かない方がいいのがもどかしい。