読んだ本の話その10

本の紹介をしています。

今回は本の内容について話す前に、少し余計な話をします。

4月といえば新生活の始まる時期ですが、職場であったり生活環境の変わる方も多いのではないでしょうか。

かくいう私も4月から転職に近いレベルの仕事環境の変化がある身、今の職場は非常に快適な環境だったのでその変化にナイーブになっていたところですが、そんな時に思い出して少し心の支えになった、そんな本を今回は紹介します。


ハッピー・アイスクリーム(加藤千恵)

短編の小説集。と短歌集。

女子高校生が主人公で、思春期の出来事について描かれている。

読書として中高生を想定して書かれた本なので非常に平易で読みやすい。

印象に残った箇所がこちら。

あたしは、自分の不幸さを思うときに、由梨たちのことを思い浮かべて、友達は全然わかってくれてないし、そもそもわかりっこないのだと悟った気になっていた。
自分の悩みは、由梨たちの悩みに比べるとはるかに巨大だと思いこんでいた。そもそも、悩んでいるのは自分だけなんじゃないだろうかと。
あたしの中で、いつもいつも、あたしだけが不幸だった。

読んだのは1ヶ月以上も前なので詳細な内容は忘れてしまったが、主人公が自分の悩みを抱えて悩んでいる中、「自分と比較して悩んでいなさそう」に見えた友達の由梨が「自分より大きな悩みに直面している」ことを知ったシーンの一節。

自身が悩みごとを抱えている時は、「自分より恵まれていそうな」他人と比較して、「自分だけが悩みを抱えている」と思い込んでしまう、と思ってしまうことは少なくないが、そんな時に思い出したいこと。

自分の中で、自分だけが不幸になっていると思っているだけで、悩んでいるのは自分だけじゃない。

だから何と言われてしまえばそれまでだが、これだけの言葉でも少し気持ちが落ち着く気がする。



また別の本で読んだことですが、「I(アルファベットのアイ・一人称)のモードに入らない」ことがコミュニケーションのコツという考え方がありました。

どういうことかというと、「私」が主語になって考えている時は、自分の都合優先で考えている、自分の利益になることが最優先になっている。しかし他人と関わって生きていく以上、他人の視点を持たなければ、他人を無視して考えていても永遠に満たされない空虚感に支配されてしまう。
だから「私」のことだけを考える態度になっている時は注意!というものです。

この考えは自分の気持ちを安定させる上でしっくりきました。それに近い感覚です。

余談が長くなりましたが今回は以上です。
お読みいただきありがとうございました。