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ひとりごと|3月16日

最悪の夢を見て目が覚めた。起きてから夢で本当に良かったと安心して気が緩み、夫に泣きつく。半分寝ぼけながら宥めてくれて優しかった。そのまま二度寝。

起きる。外に出ると決めていたので具体的な流れに頭を巡らす。昨日意気込んでいたものの美術館は人多そう、映画館はお腹の調子がいまいちな今は避けたい、ということで振り出しに戻る。買い物しよう。春だから。狙っていたスニーカーがある。在庫確認ができない状態で新宿へ。人生半分は池袋〜新宿あたりを主な行動範囲として生きてきているので、いくらごちゃついていようが慣れているところに行くのが一番。
まっすぐ店に着く。と、すぐ見つけた!試着してもしっくりきたので、即購入。スケボータイプのスニーカーだと大体みなさんadidasを選びますよ、プーマはおしゃれな人が買っていくイメージですと言われいたたまれない。自意識過剰?が、何はともあれよかった。
ボロくなった方のスニーカーをデコるべくパーツを見ようとokadayaに移動するもピンとこず、そのまま出てスシローに入る。家族連れが大量に並ぶ中、ソロの私は整理券取った瞬間に番号が呼び出された。回転寿司は1人めしの穴場だ。しめ鯖やづけまぐろの握りなどに加え、なんとなくフライドポテト頼んだらおいしくてびっくり。これはいい。13時をしっかり回ってから混み始めるのは休日ならではか。ちょうどいいお腹で退店。
お次はコクーンタワー下のブックファーストへ。入り口がわからなくて迷う。モード学園にしか入れんとなったが少し横にずれるだけで見つかった。ここら辺で今年初めて花粉を明確に感じ始める。ずるずる言いながら岩波新書のゾーンへ直行。あったあった。河合隼雄『コンプレックス』。ビューティーライターのAYANAさんがストーリーで絶賛していたのでリストに入れていた。ぐるりと回ってからお会計。すごく都会的な本屋だ。


まだ早い時間。もう少し外にいよう。初台のfuzkueへ。fuzkueデビュー、今日アリかもって思ってた。駅から歩いてすぐ着き、重めのドアを開くと人が多い。満員か?一瞬焦るが奥の席を手で差してどうぞと言っていただく。阿久津さんだ。一方的な認知。窓に向いた高めのカウンターに座る。どきどき。メニューをめくり、すぐに決めて後ろを向くと阿久津さんがうかがいますと目で合図。音が少ないとコミュニケーションも最低限で取れるんだな。待ちながら、買った本と持ってきた本2冊を並べる。鼻水が止まらない。花粉症1日目でfuzkue、良くなかったか?必死に抑えて耐えていたらなんとか波が去る。運ばれてきた金柑ジュースはうすい琥珀色で美しく、氷が氷山のように凛と立っている。そこから1時間半ほどだろうか、明確には覚えていないが体を伸ばしたりキッチンから流れてくるかちゃかちゃとした音やカレーやコーヒーの香りに意識を傾けたりしながら、山内マリコ『結婚とわたし』を読み終え、店を出る。fuzkue、何度か行ったことのある夫から話は聞いていたし、阿久津さんの本『本の読める場所を求めて』も家にありパラパラと読んでいたのでシステムだけは知っていたが、緊張しそうだなと一歩が踏み出せずにいた。今日勇気を出してよかった、いい読書体験になった。今度は下北沢店に行きたいな。

『コンプレックス』は開かず

そろそろ帰ろう。友人を家に招いている夫にぼちぼち帰路に着きますと連絡。心地よい疲労感のまま家の前まで来たところでこれまでの1日をぶち壊しかねない絶望的な事実に気づく。鍵がない。失くした。上着の内ポケットに入れて家を出た、そこまでは確実。何度か脱いだタイミングだな……。スシローとブックファーストに順番に電話。どちらもない。とりあえず家に入れてもらう。夫の友人=私の後輩なので2人に事情を説明。どうしようと言うと後輩が僕もこの前失くしましたけど、交番届いてましたよとのこと。ていうかこの部屋お酒くさいし空気が澱んでるんだけど?シンクの方を見ると500mlのビールの空き缶が7本。おそらく夫が半分以上飲んでるんだろう。まあとりあえずいい、交番に電話しよう。さすがにお昼に落として今届いてることは…とダメ元でかけて特徴を伝えると電話口の方が「あ!!」と。私も「え!!!」とでかい声が出る。あった。ありました届いてました昼から今で。日本嫌なところ多すぎるが今だけはサイコーと思った。神様。拾ってくれた方。蜻蛉返りはかなり億劫だが今から行きますと言い電話を切る。2人にも届いていたことを伝えてひとしきり盛り上がった。夫がゆらゆら踊る。いつもこんな感じですか?と後輩。いつもこんなんです。多分もうあんまり会話らしい会話はできないけど頑張ってね、と言い残して家を出る。

警察署着。特徴が事細かに分かっても口だけでは返してもらえないらしい。絵を描いてくださいと言われる。私のキーケースは三つ折りタイプで、どのチェーンに鍵が何本つながっているかまで分かってますと示した方が信頼感を得られるだろうと開いた状態を描いてみせると、外見を描いてくださいと紙を返された。はずかし。外見を描き、間違いなさそうですねとなって無事手元に戻ってくる。僕と同じブランドですねと窓口のお兄さんが自分のカードケースを取り出して見せてくれるが、ヘトヘトではははと笑うことしかできなかった。

受け取り終わって帰るよと夫に連絡したのが19時。しばらく既読がつかず嫌な予感がしたのでまだ一緒にいるであろう後輩にLINEを飛ばすと、夫がベッドで爆睡している写真。やはり。そのまま帰っちゃってもいいよと返信したが、一旦鍵借りてラーメン食べに行きますとのこと。それはそれですごい。いいけど全然。家に着いて文字通り叩き起こす。人を呼んでおいて家主が酔っ払って寝るんじゃないよ。今まで君は寝ていて今こういう状況なんですよと3回くらい説明したらやっと分かったようだった。しばらくして後輩が帰ってくる。夫はいやあごめんごめん寝ちゃったよ、くらいのテンションだったが後輩も全く気にしてないよって感じだったので、別にいいんだろう。この2人の間柄は私はよく知らないし。
元々2人は今日、DTMソフトの勉強会のような名目で集まっていたこともあり、そこからは音楽談義がひたすらに続いた。同じベーシストである後輩にベースラインが好きな曲はあるかと問われ、一瞬迷うも結構次々と思いついて自分でも驚く。並べてみて、割と好みが明確だなと気づいた。コピーバンドに明け暮れていた学生時代にはむしろこんな話はせず日々のコピーでヒイヒイ言っていたが、今だからこそというか、今でもというか、「音楽」をフレッシュな話題にできるのは純粋に嬉しい。この後輩とこんなに話すのも、正直初めてだった。
いくらでも話せそうだったが睡魔が徐々に襲ってくる。12000歩も歩いてるからな。徒歩で帰れる距離に住んでいる後輩を0時過ぎに見送って、お風呂に入ってからバタンと寝た。本当に、本当に長く疲れる1日だった。

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