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現実の間違い探し。

秒毎に数字が伸びていく。

我らがインフルエンサー。

その正体は。。。


某秘密団体のドンは黙り込んで、伸びていく数字を見つめていた。

部下が横から溜め息を吐きながら話し出した。

【このインフルエンサーの正体が、ただ人とは、本当に残念ですね。。。】

ある高位からの依頼により、調べ上げた子供が、今、彼らの視線の先の配信者だ。

つい先日、その子供の家族に、自分達の背後をちらつかせて、子供を連れ出し、調査した。

よくある、催眠術を使っての、シンプルな調査。

別の惑星の星の人だと自称する子供はつらつらと、別の物語を話し出した。

【まだ、言葉が上手く話せないときに、小さな画面のテレビを見たんだ。そこで覚えた話をいつも、話しているんだよ。】

つまりはこうだ。

【携帯から得た情報の記憶を誤認している】、少し【感受性が強いくらい】の、ただの子供だった。地球人に違いはない。

こんな事件が腐るほどあって。

何ならば、それ以外の真性なんて、、、ただの一つも見つかったことがないのが本当だ。


会社勤めに疲弊して、

不意に転がり込んだ親戚の遺産に物を言わせて、

この会社を立ち上げた。

【夢を掴みたくて。。。】

ドンは、自分の机の上の写真に視線を動かした。

【疲れた。。。】

現実は甘くなかった。

夢の欠片は、どこを探しても、地上には見つからなかった。

在るのは現実、現実、ひたすら現実感だった。


部下が冗談めかして話し出す。

【日本のアレ、GODを知っているんだって、吹聴している彼女は、何者でしょう?】

【(ちっ)。。。あれはただ、現実を話しているだけで、一つも大事そうなことが語られていない。】

ドンは忌々しげに舌打ちを打つ。

【ですよね~。。。】

【(金持ちの道楽が。。。)】

ドンは憎々しい顔をして部下を見上げる。

【何です?】

きょとんとした顔をして、部下はドンを覗き込んだ。

【何でもない。】


酔い潰れた自分の世迷い言に、初対面で朝まで付き合ってくれたのが、

今の部下だ。

【(人が好い)。。。】

そして、自分の夢に近い理想を彼の心の何処かに、ドンは感じた。

だから、

会社を作ってみた。

試しにだ。

趣味や道楽の先を仕事に、曲げただけだ。

それがもし、この、大き過ぎる、しなだれた世界を変えてくれるなら。。。


ドンの心の中には、いつも彼を支える、笑顔があった。

紛争であっけなく先に逝ってしまった戦友。

もう、こんな、争いだけの生活は嫌だと軍を抜け、会社に勤め、

一周回って、

今は自分が立ち上げた会社で、

神秘的な研究調査を続けている。

昔の同僚が知ったら、馬鹿にするだろうか。。。

ドンは、その、同僚の命すら救いたくて、

活動しているのに。


世界にはいろんな立場の人が居る。

様々な思いが隠れるように存在し、

真っ当に心のままに生きれる人はほとんど居ない。

全て等しく尊いはずの命に重り(思い込み)をつけて、

命の重さを量る現代社会。

量った重り(理解)で、それぞれを選別し、別け隔つ。

それは等しく、同じなのに。。。

何故か人は、他者を認識するにおいて、享受するでなく、識別をする。

いろんな人が居て、いろんな生き方があって、いいじゃないか。それが事実だ。

大切なことは、他者のそれに、自身の見識を添えないことだ。

人がエゴを繰り出すと、時に人間は、武器も作り出して、他者を攻めるから。

他者に対する姿勢を丸く、円く、自我こそ、削って他者に臨む。自我が通用するのは自分自身だけだ。

いろんな経験が織り重なって紡がれる、人間の社会の様相を今、私なりに表現するなら。

血こそ捧げながら、やっと、生きているのが、現代だ。

捧げるものは?捧げられるものは?人間の血肉であって、よいのでしょうか?

私達は、この命に、何を込めて、生きる生き物でしょうか?人間は。

今、人間は、知性を惰性にしてしまっている。

そんな、中途半端に誤魔化された理想で、乱れた社会を救いたくて。

私はちょっと、ふざけて、物語(フィクション)を書いて、

まさかの自分自身をも登場させてみました(笑)。

こんな人も居る居る。

世界には、本当に、いろんな命が、生きているのだから。


~現実の間違い探し~に己を捧げたドンのような、寂しい夢追い人が報われる世界を願っています。


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