AF○ELAへの道程

※私が勝手に想像した完全フィクションですので、悪しからず

「一体どうなってるんだ!」
某日SO○Y役員会にて。
社長が怒鳴り散らしてる。
ソ○ー・ホン○モビリティについてだ。

「2020年には、3年後発売、5年後には黒字になる計画だったじゃないか。
それが2025年に発表、2026年から販売だと?
いつになったら黒字になるんだ。
一体いくらつぎ込んだと思ってるんだ!
2020年にはクルマ出来てたじゃないか。
なぜこんなにかかるんだ⁈」

気持ちはわかる。

CES2020で発表した際、確かにちゃんと走れる車体は出来ていた。

マグ○シュタイアの手によって開発された車体は、アルミ素材を使用し車両総重量3トンにもなるEセグメントBEVとして、前後ダブルウィッシュボーン派生マルチリンクサスペンションにエアバネを備えた、ライバルにヒケを取らない常識的かつ適切な設計の代物だった。

意地悪く言えば、それはジャガーやテスラモデルSにも似ている構成だが、そこは同じ某アルミ素材メーカーが設計に噛んでいるからだろう。
その分今にでも市販されそうな出来でもあった。

当然開発費はそれなりにかかった。
元々はそこまでやるつもり無かっただが、ここまで仕上げた開発費は、最終的に市販する事を前提とし、ソ○ー社内で承認を得たものだった。

しかし、市販は簡単ではない。
1500万円にもなるクルマは、ソ○ーストアで通販すればいいものではない。

そもそもV○SION-Sはワンオフで造られたもの。量産まで踏み込んだ設計ではない。

当初はマグ○シュタイアで生産も考えたが、量産向けの設計変更が必要で、量産コストも高く、更にはマグ○の工場も忙しくて量産は勘弁してくれと言われてる。

マグ○も大したもので、そのままでは発売できないほどV○SION-Sを無特徴なデザインにしている。

さて困った。
誰かこのクルマを作ってくれないかと。

そんな時、社長がEVシフトを打ち出したホン○と言う会社が出てきた。

ホン○なら生産できるしディーラーもある。
早速コンタクトすると、ぜひと食い付いてきた。

よし、ソ○ーホン○モビリティ誕生だ。

EVシフトを標榜したホン○としては、ソ○ーとの協議は願ってもないチャンスであった。

しかし、そう思うのは経営陣だけだった。

ソ○ーは早くカタチにしたい、市販したい、コストを回収したい。

ホン○に「そのままV○SION-S生産できませんか?」と問うた。

「いやいや、量産を考えた設計ではないので、簡単ではない。全部やり直しですよ」と剣もほろろ。

あれだけカネ掛けてV○SION-S作ったのに、やり直し?そんなバカな。
まだカネも期間もかかるだと?

そこでホンダから、
「ウチもEVプラットフォーム開発してます。それで行きませんか?もちろん量産前提の設計ですし」との提案。

ならばそれで行こう。

しかし、ホン○が開発中のEVプラットフォームはDセグメント向け。アコー○クラス5万ドル想定のEVだ。
ホン○は本気で台数を稼げるEVを想定していた。
このプラットフォームは乗員込み総重量2.7トン程度を想定している。

ソ○ーの考える総重量3トン10万ドルクラスの車体まで拡大は難しい。

そこをどうにかできないか、と協議してる中、ソ○ー経営陣からハッパが掛かる。

「一体何してるんだ。
マグ○設計の車体があるだろ。
それをとっととホン○に作らせろ」と。

そんな話を聞いてホン○のエンジニアのモチベーションは地に落ちた。
俺らをなんだと思ってるんだ。
誰もソ○ーホン○モビリティへの出向を望まなくなった。

そしてプロジェクトは進まない。

焦ったソ○ーホン○モビリティ社長は、CES2023へ車体展示を計画する。
もちろん何も進んでないが、進捗をアピールする事が重要だ。

いざとなればIPOだ。
このまま収益化する前に会社ごと売れたらいい。
ソ○ー本体からもその方向を検討する様にずっと言われている。
その為にはCES2023への出展はマストだ。

ウダウダ言うホン○は放っておいてソ○ーだけでも出展車を仕立てる事にした。

さて、どうするか。
ベースはV○SION-Sになる。
今更サイズは変えられないのでそのまま。

イメージセンサーは言わずもがな、ソ○ーのお得意だ。大量に付ける。実働するのは何個かで良い。

継ぎ目の無い横長大型ディスプレイは試作していたのでそれを付けて、表示するソフトウェアを急造。

インパネは木工細工にウレタンやフェイクレザーシートを貼って内装デザインを変え、空間オーディオ向けスピーカーを配置。

ステアリング形状も円型からガングリップタイプへ変更。
本来ならこの形状は1回転以上回せないので、走行時の微舵操作と駐車時の大舵角操作用にステアリングギヤ比可変システムが必要だが、V○SION-Sのままなのでそんなのは無い。
まともに走らせないショーカーだ、気にしない。

電動ドアオープニングなどのギミックはサプライヤーからの提案をそのまま使えばいい。
所詮タクシーのドアに毛が生えた程度のものだ。公開時にだけそこそこ動けばいいので、センサー類の信頼性(ノイズによる誤作動)も無視。

外装はデザインを変える。
ショーカーなので鉄やアルミ板のプレスや剛性なんぞ考えなくていい。とりあえずヌルッとしたパネルを貼る。

そのままじゃ新鮮味が無くマズいのでインフォメーションディスプレイを前後に付けておく。用途はあとで考える。

こうしてひとまず車体は出来上がった。

プレスリリースもソ○ー側で作成。
その内容にホン○の情報は皆無。

事前レビューで当然ホン○経営陣が激怒、紛糾した。

ホン○役員(H)
「コレじゃソ○ーのクルマじゃないか!」

ソ○ー役員(S)
「当たり前だ、ホン○は何も提案してないじゃないか。」

H
「いやいや、ウチはどうやって量産するか、BEVとしてどう普及させるか真剣に考えてるんだ。
更に言えば自動運転レベル3を初めて日本で公道走行実現したのはウチだぞ。
当然それらの実装を提案している。」

S
「そんなのはなんのインパクトも無いだろう。
量産云々なんてのは作り手の都合でしかない。
自動運転もレベル4以上が言えないなら、意味がない。」

H
「自動運転レベル4がどれだけ難しいか、わかってるのか?
悪いが我々は自動車メーカーだ。
安全だと胸を張って言えないものを軽々しくアピールなんてできない。
安全に使用できる自動車を提供するのは我々の責務だ。」

S
「そんなの知らんがな。
ソ○ーは旧来の自動車という世界観でやってるのではない。走るスマホ、最上のエンターテイメントを備えた移動空間だ。
誰もがそこをソ○ーに期待している。
あなた達ホン○さんもそこを期待して我々ソ○ーと組んだのだろ?
車体構造や走行性能はmatureなもので、そこに注力するつもりはない。」

H
「あんたらIPOのために単にアピールだけしたいのだろう?」

S
「IPOももちろん考えているが、その前にこれはソ○ー渾身のプロダクトなのだ。
我々はいつの時代もユーザーに新しい提案をして、新しい経験をさせる、それはソ○ーの企業義務、責務と言っても良い。
ソ○ーがCESでそこをアピールしなくてどうする?
我々がこのプロジェクトにどれだけカネを投入してると思ってるんだ。」

H
「ならCESはソ○ー側で勝手にやれ。もう知らん。」

完全に破談だ。
噛み合わない。

そもそもホン○はマスコミが言うイメージとは違う。
できもしないことをペラペラ言う数多のスタートアップ企業ではない。
れっきとした自動車会社だ。

少し前まで、メディアは自動運転についてホン○は遅れているとの論調だった。

レジェン○がレベル3自動運転の認可を取った時、突然のリリースに皆驚いた。

それは単に情報をリークしていなかっただけで、ずっと研究していたし、公道で実現する為に国交省とも折衝していたわけだ。

電動車にしてもそうだ。
昔から研究開発をやっている。
何せ全く違う構造のハイブリッドシステムを4つもリリースしているのだ。

更には高性能な燃料電池車まで市販している。

こんな会社は他に無い。

この20年、むしろ内燃機関開発を外部に委託するほど、電動化技術に軸足を移している会社なのだ。

言うまでもなくモーターやバッテリー、それら制御技術は世界でもトップレベルの会社なのだ。

コレらについて遅れているなんて言うマスコミは単にボンクラなだけだ。

燃料電池なんて30年近く前、床下に燃料電池スタックを載せる為のスペースを入れた車体を開発したが、燃料電池開発ベンチャーがドロンして実現不可になったダイムラーの様な例もある。

床下に無駄なスペースを残したまま、単なる内燃機関を乗せAクラスとしてリリースし、その高重心による不安定さでリコールとなった黒歴史は、今となってはどのメディアで報じない。

少しオーバーシュート(ホラ吹き)気味にアピールしたい前のめりな会社から見ると、ホン○の姿勢は歯がゆいだろう。
それはホン○だけでなく、日本の自動車会社全てにおいて言える事だ。

そう言う会社と組みたいなら、テスラ、いやドイツの自動車会社と組んだら良いのに、と思う。

さて、CES2023でソ○ーホン○モビリティが発表した車体は各メディアが気を遣い、それなりに好意的に報道された。

およそカーデザイナーが携わったとは思えない場当たり的なデザイン、新鮮味の無い機能を見る限り、この車体が今後に活かされる事は無いだろう。

ソ○ーとホン○と言う、多くの方が期待するダブルネームのプロジェクト、早く立て直して欲しい。

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