見出し画像

自分の個性って人からいただくものですね。

月金定期更新に戻ってまいりました。
本日もよろしくお願いします。

話題がとっ散らかりそうな予感しかしないのでまず最初に。順を追って…。

今回は明日の新人演奏会で演奏する曲への思い入れを聞いていただこうかと思います。

正直キャッチーとは言えないこの曲をどうして選んだのか、そんな感じのトピックになります(この曲のことが大好きだからこそ!出る言葉です!)。

明日来ていただける方もそうでない方も、よろしければ読んでいってください。

明日の新人演奏会といいますのはこちら。

各SNSのDMでまだまだチケット受け付けておりますので、よろしければぜひ!

昨日の記事では、新人演奏会にまつわる苦い思い出話や意気込みを書きました。こちらもよろしければお読みください。


さて、本題の選曲の経緯について。

今回私が演奏するのは、ユライ・フィラス(Juraj Filas)という方が書いた協奏曲(この曲には固有名詞的なタイトルはついてません)。

先ほどもちらっと触れましたがこの曲、正直耳馴染みの良さはないと思います。
ユーフォニアムのために書かれたソロ曲ってものがこの曲以外にもたくさんあるわけなんですが(もちろんメジャーな楽器に比べればうんと少ない)、世間的にも超マイナージャンルであろうユーフォニアムのソロ曲の中でも、さらにマイナー寄り。分かりやすい指標としてYouTubeの検索結果を例に出しますが、私が確認できている限りこの曲の音源は1本しか見つけられていません。他にもあったらごめんなさい。
(さっきも言いましたが、この曲が大好きだからこそこんな話をしています、念押しです。)

じゃあなんでこの曲を選んだのか。
まずひとつ大きな理由として、大学院での研究を活かしたい!というのがありました。

私が修士論文執筆にあたり取り組んだ研究内容の一部に「ドイツ語圏軍楽隊における金管楽器」というテーマがありました。
かいつまんで説明すると、19世紀頃のヨーロッパの軍楽隊の編成(どの楽器が何本使われているかとか)を調べてみると、どうやらオーストリアやその周辺はやたらと金管楽器の割合が高く、技術的な面で優れた金管楽器奏者が多かったみたいだぞ、という話。

これは研究内容に私の個人的な印象も交えてのお話なんですが、その地域の金管楽器のレパートリーってすごく「鋭い音」が印象的な気がします。
軍楽隊って外でパレードとかしたりするんですよ。天井も壁もない場所でクリアな音を鳴らさないといけないんです。
ぼやっとしたイメージでもいいんですが、ラッパ持った兵隊さんがコンサートホールで聴くようなリッチでお上品な音を出すイメージってありますかね?(どっちがいいとかいう話ではなく)
多分この地域の金管楽器の持つ個性はこのあたりからきてるんでないかな~と、私は思うわけです(先人たちの偉大な研究によって培われた知識です)。

それが今回の曲とどう関係があるのかと言いますと、この曲を書いた作曲家はスロバキア出身なんです。場所でいうとオーストリアと隣接した国。
まさにどんぴしゃりな地域の音楽です。

この地域の音楽を研究したからこそ、その音の響きが大好き、みたいなナチュラルな気持ちももちろんあります。

大学院を修了して2か月、今このタイミングで披露するにはぴったりなんじゃないかなとびびっときた曲がこの曲でした(しかも提示された持ち時間ちょうどぴったりくらいの尺、運命的)。

そしてもうひとつの選曲理由は、この曲の持つ個性と私のキャラクターの相性、そしてユーフォニアムをいろんな角度から見てほしいという想いからでした。

先ほどの説明通り、この曲も非常に作曲者の出身の地域色(民俗色と言ってもいいかもしれません)が強く出ている曲です。
鋭く鮮烈な音の響きを持ち、畳み掛けるようなハイトーン(演奏面から見てもかなりキツくてリスキーなことをしています)。
まあリラックスしながら聴こうか、なんて曲調ではありません。

言葉を選ばずに言うと「ユーフォニアムらしくない」曲とも言えます。
先日の記事でも触れたんですが、ユーフォニアムは包み込んでくれるようなあたたかい音色で、バラードが合うとかよく言われます。
それと打って変わって今回の曲はとっても強烈な印象。ユーフォといえば!みたいな曲ではないわけです…。

あれだけユーフォの魅力が云々言っておきながら…とも取れますが、だからこそこの曲なんです。

この本番はソロを披露できる貴重な機会でありながらも、ユーフォニアム奏者5人が出演するひとつのコンサート。

せっかくユーフォ奏者が集まるコンサートなんだから、やっぱりユーフォっていいなぁとも思ってほしいし、ユーフォってこんな表情もするんだ!ってびっくりもしてほしい。
これを出演者の皆さんと打ち合わせしたわけでもなんでもないんですが、私の中での出演者の皆さんへのイメージがあって、きっとそれぞれがご自身の演奏の個性にあった武器を選んでこられるんだろうと、そう思ったんです。

じゃあ自分の個性ってなんだろうって考えたときに「現代っぽい前衛的な曲が似合うね」とか「1stでハイトーン鳴らしてるときの友澤さんの音いいね」といった、今までに周りの方々からいただいてきたお声でした。

だからこそここでしっかり自分を貫くことで、お客様が出演者5人の演奏をそれぞれ聴いて「今日はいろんな曲が聴けて楽しかった!」と思ってもらえるコンサートになったらいいな、なんて想いもあったり。

自分のカラーが出る演奏を聴いてほしい!って気持ちと、出演者全員でこのコンサートを完成させたい!みたいな気持ち。この両方が合わさってこの選曲になりましたというお話でした。

若干暑苦しく迷走気味でしたが、熱量だけでも伝われば。

明日は会場でお待ちしております。
明日来られない方も、いつかお会いできますよう。その日は最高の一日にしましょうね。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。ではまた次の記事で。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?