見出し画像

フォトエッセイ:東京さんぽ~虎ノ門ヒルズ・愛宕神社・中目トースト~

先々週、渋谷のタワーレコード本店で買い物をしたあと、最近できた渋谷スクランブルタワーと渋谷ストリームビルを探検し、渋谷川沿いにできたお洒落な散歩道を伝って、代官山まで歩いてみた。久しぶりにけっこうな距離を歩いて、少し足が痛かったけど、すごくリラックスした気分になれた。

コロナで人が減った東京は、ちょうどよい人の密度で歩き回るのもあまり疲れなくて良かった。

よし、週末はなるべく知らない道、知らない街を歩いてみようと決めて、先週末もとりあえず目標を決めずに電車に乗ってみました。

出発点は東急大岡山駅。ここから、目黒に向かうか、大井町か、二子玉川か。それとも自由が丘を経由して、渋谷か、横浜か。渋谷は先週行ったしな……。と思いつつも、いつもの癖で自由が丘方面に乗ってしまう。

大井町線は何かの事故なのか、自由が丘から先に行かない。「いかん、このままでは、また渋谷に行ってしまう」と、とりあえず、中目黒で日比谷線に乗り換え。

さて、日比谷線でどこへ行く? 日比谷で下車して有楽町周辺か、秋葉原か。神谷町駅で次の「虎ノ門ヒルズ」という表示が目に入る。「そうだ、オープンしたばかりの虎ノ門ヒルズ駅で降りてみよう」

画像4

虎ノ門ヒルズの駅は、思ったよりもだいぶ地味だった。新駅のキラキラ感なんてカケラもない。オープンしたとはいえ、まだ工事中なのだ。駅名は「虎ノ門ヒルズ」なのに肝心の「虎ノ門ヒルズ」にも繋がっていない。仕方がないから、いったん地上に出て、まだ地下鉄工事が大規模に続いている櫻田通りを渡り、数百メートル先の「虎ノ門ヒルズ」をめざす。

画像4

虎ノ門ヒルズは、上階にホテルとオフィスが入った2つの高層ビルを中心に広がっている。低層階にはかなりゆったりしたスペースにディーン&デルーカなど、おしゃれなカフェや蔦谷書店やファミマ!が入っている。オープンスペースにもテーブルや椅子があるし、カフェも店内スペースに余裕があるし、落ち着いた雰囲気。ここで腰を落ち着けて、書き物をしようかと思ったけど、ちょっとまだ歩き足りない。1Fのロビーで、ドラえもんならぬ「トラのもん」の写真を撮って退散。

画像3

画像4

虎ノ門ヒルズからどこへ行こう? 遠くを見ると東京タワーが見える。赤羽橋を目指すか? 目の前の標識を見ると、左は日比谷公園まで780m。右は愛宕神社まで170m。日比谷公園はポケモンをとりに散々歩き回ったので新鮮味がない。愛宕神社へ行ってみよう!と歩き出す。

愛宕神社って、けっこう高い山(愛宕山)の上にあるんだよね。まず、右手に愛宕神社行きの車道が現れ、次にもの凄い斜度の階段=「出世の石段」が現れる。その昔、三代将軍・徳川家光の「あの山の上の梅の花が欲しい。しかも、騎馬で取ってこい」という酷いワガママな要求に、歩いて上り下りするのも怖い急な石段を、ただひとり馬に乗ったまま駆け上がって見事な馬術で家光に気に入られて出世した、四国丸亀藩の家臣・曲垣平九郎の故事にちなんだ階段だそうです。

画像6

画像5

この出世の階段を昇ってみたけど、マジに怖い。ちょっとバランスを崩したら後ろに転げ落ちてしまいそう。怖いので、かっこ悪いけど手すりの上に手を置いて、いつでも手すりを掴める態勢でなる早で昇りました。でも、若いカップルが手すりにもつかまらずに上り下りしている。凄いなあ。あのカップルの平衡感覚が優れているのか、僕が単に加齢で衰えたのか。前者であってほしいと切に願う。

急階段を上りきったあとは、こじんまりした本殿が目の前に。お稲荷さんではないのに鳥居が赤い。鳥居の横には三つ葉葵の御紋の提灯。小さいけど、由緒正しい徳川家の神社ということなのか。せっかくなので、お参りして出世を祈ってきました。あと9年で定年だけど。

画像7

画像8

お参り終わって出世の石段をまたまたおっかなビックリしながら降りて、付近を探索。都会の真ん中とは思えない空き地があったり、風情のあるトンネルがあったり。なかなかフォトジェニックな風景。

画像9

このトンネルの入口脇には、なんとエレベーターがある。愛宕山の上には愛宕神社だけでなく、NHKの放送博物館もあって、このエレベーターはその博物館のためのものらしい。

画像10

せっかくだからエレベータに乗ってみる。1Fと2Fと表示があるけど、実際には約25m登るのでガラスの外の景色にちょっとワクワク。入口の左に出口があるのがちょっと格好良い。

画像11

画像12

画像13

行ってみてわかったが、NHK放送博物館と愛宕神社はお山の上でお隣同士だった。つまり、エレベータでも愛宕神社に行ける。放送博物館は無料で見られるけど、たどり着いたときは閉館時間の16時を過ぎていて見られなかった。残念。

画像14

画像15

画像16

画像17

今度は、放送研究所の駐車場ゲートの前にある階段で、神谷町方面に降りてみる。都会のど真ん中とは思えない、薄暗い寂しい階段を降りると、先ほどのトンネルの向こう側の出口の脇に出る。「田崎信也ワインサロン」と「チーズのお店」の看板が気になるけど、いったい愛宕山のどこにあったのだろう?

画像18

画像19

画像20

画像21

画像22

画像23

画像24

愛宕山のトンネルかしばし歩くとまた、東京らしい無機質な都会がある。この対比が面白い。神谷町駅に向かってしばらく歩くと、とても懐かしい風景に出会った。神谷町駅に通じる地下街入口から先に広がる風景。なんでもない、都会の町並みなのに、なんだか切ない気持ちにもなった。ここには、昔何度も来たことがある。この緩い坂道を何度も急いで登った記憶。

画像25

なんだろう? どこへ行ったんだっけ?地図を見てもピンとこない。「この周辺には私設の博物館が沢山あるんだな」とぼんやり思う。

画像26

もうちょっと歩こうかと思ったけど、疲れたので神谷町から再び日比谷線に乗ることにして、中目黒駅行きのホームに出たときに、謎の懐かしさの理由がわかった。そうか、ホテルオークラか。昔は、大きなホテルでいろんなIT企業の発表会があって、ホテルオークラにも何度も行った。神谷町駅からはちょっと遠くて歩くんだよね。オークラと思って取材にかけつけてコンシェルジュに聞いたら、「そんな発表会やってません。オータニでは?」と言われてオータニ行ってみたら、やっぱりオークラだった、なんてこともあったなあ。

画像27

日比谷線を終点の中目黒で降りると強いにわか雨。ラッキーなことに傘をもっていたので、かまわず目黒川方面に歩く。「外で今日の散策を文章にしたい」と思う。目黒川沿いなら、良い感じのカフェがあるんじゃないか? とこれまたポケモン狩りで何度も歩いた川沿いの道を上流に向かって歩き、カフェを探してみる。しかし、目黒川沿いはどちらかというと、オシャレ居酒屋みたいな店ばかり。しかも、けっこう混み合っていて、だいたいカップルやグループが昼間から飲んでいる。ちょっとSueface Pro を開いて居座って物書きに集中する雰囲気ではない。

画像28

こりゃダメだと、中目黒駅の高架まで戻って、今度は下流に向かって歩いてみる。さっきよりはだいぶ空いているけど、書き物する雰囲気の店は……と様子をうかがっていると、「中目トースト」というお店の中から眼鏡とエプロンの女性が出てくるので、「お茶だけでもいいですか?」と聞くと「どうぞ」と。お言葉に甘えてカウンターに陣取らせてもらう。

メニューを見るとアイスコーヒーはあるけど、アイスティーはない。でも聞いてみると「アールグレイのアイスティーなら」あるという。濃くてたっぷりのアイスティーが出てきたので、本格的に腰を落ち着けてこの日の散歩について文章にしたためる。

画像35

画像29

画像31

「お仕事ですか?」とカウンターの中から聞かれたので、「いや。趣味です。文章を書くのが趣味なんです。仕事でもあるんですけど」なんて応えたり。店内にあまり客がいなかったせいか、それとも暇な雨の日の初見の客だったからか、ラスクをサービスでいただいたり。

画像32

結局。アイスティーのあとにハートランドのビールも頼んで、飲み終わった頃に書き物の終わりも見えてきた。せっかくなので「リエットのサンドイッチ」をテイクアウト用に作ってもらい、出来上がったところで帰路につきました。このリエットのサンドイッチは、お値段のわりにボリュームたっぷりで、しかもめちゃ美味しかった。また、別のトーストやサンドイッチを食べてみたくなりました。


画像34

画像34


画像35


写真はGalaxy note 9で撮影。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?