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リリモンへの超進化は今作トップクラスの名シーン!「デジモンアドベンチャー:」第11~12話感想

第11話「砂漠に立つ狼」、第12話「リリモン開花」の感想です。丈先輩…イッカクモンだけじゃなくバードラモンにも酔うのか…頼りないな~。ミミちゃんは安定のかわいさ。今作では完全にヒロインですね。
次々と完全体に進化していくパートナーデジモンたち。徐々に子供たちの成長が垣間見えてきました。

丈の自主性を重んじるゴマモン

第11話から、二手に分かれて聖なるデジモンをめざす選ばれし子供たち。砂漠を進むヤマト、空、丈はスコピオモンに阻まれて困っていたネーモンたちに出会います。彼らを守りながら一緒に連れていこうとする空に対して、そんな余裕はないと先を急ごうとするヤマト。どっちつかずでうろたえていた丈に対して、ゴマモンは「丈はどうしたいの?」と聞きます。ここはパートナーデジモンが子供の成長を促すいい場面だと思いました。結局丈は空とともにネーモンたちを連れていく決断をします。パートナーデジモンとのやり取りを通して子供が成長していく、地味ながら素晴らしいシーンでした。
そして、ネーモンの声優は「デジモンフロンティア」と同じ菊池正美さん。無印で丈先輩を演じていた人でもあります。風間勇刀さん、前田愛さんに続き、無印の声優さんがゲストで登場するのはうれしい。

ヤマトの友情とは

第11話では、ガルルモンが完全体・ワーガルルモンに超進化します。第10話のメタルグレイモンへの進化の過程の描き方が不十分だったので不安だったのですが、案の定ワーガルルモンも微妙でしたね…。むしろメタルグレイモンの時よりひどい。どこに友情の要素があった?空と丈を助けるっていうのはわかるんだけど、進化前にヤマトとこの2人との仲が深まった描写がない。進化直前に今までの回想をいれたのもちょっと不自然。とくに砦でのシーンは8話でガルルモンがゴリモンを倒すときのトリガーとして使っているわけだから、はっきり言って使いまわしの手抜きだと思われてもしょうがない。戦闘後にタケルの話を打ち明けるけど、これは進化前に入れたほうがよかった。

その一方で、ガブモンとの信頼感はよく表れてるよね。「ガルルモン!」っていうだけでガルルモンはヤマトの意志をくみ取っているし、ほかのペアと比較すると現時点でデジモンとの絆が一番強く描かれていると思います。ヤマトとガブモンの出会いがどうだったのかはまだわかっていないので、ほかの子供たちと合流する前の間に二人がどんな風に信頼を築いていったかを後で描いてほしい。

戦闘シーンは相変わらずかっこよかったですね。ワーガルルモンの格闘能力の高さがよく出てました。前回の記事で、今作では戦闘シーンにかなり重きをおいてるんじゃないかと考察しましたが、ワッツインで作品プロデューサーの櫻田博之氏、シリーズディレクターに抜擢された三塚雅人氏のインタビューで語られてましたね(下記リンク参照)。ただ「序盤では」アクションを強化したとのことなので、これから後半で心理描写をきちんと描いてくれそうな希望は残っていそうです。


完全にラピュタオマージュ

第12話「リリモン開花」は全体的にすごくよかった。俺が観たかったのはこういうデジモンアドベンチャーなんだよ…!話の内容的には、現時点では今作で1番の出来だと思います。まず特筆したいのが、なぜか随所に盛り込まれたラピュタオマージュの演出。最後に緑化したアンドロモンの姿はまんまそれでした。ロボットと少女って相性いいですよね。ミミの優しさに触れたガードロモンがミミを守ろうとするシーンは感動しました。ガードロモンがミミに花を渡す場面すごくよかったし、最後にそれを動かなくなったガードロモンに供えるのは今作トップクラスの名シーンですね。

カブテリモンがミミを助けに入るところは無印を想起させるし、もともとは仲間だったアンドロモンとガードロモンが争うことになってしまったという悲しい設定も、物語に深みを与えるものでした。

無印踏襲の超進化

今回はトゲモンがリリモンに超進化。これまでのメタルグレイモン、ワーガルルモンに比べると超進化までの流れが一番よかったと思います。ミミに迫るアンドロモンを引き留めようとするガードロモンがアンドロモンに踏みつけられて機能停止。自分を守ろうとしたガードロモンがやられてしまった悲しみと、アンドロモンに対する怒りを受け、トゲモンがリリモンに超進化するという流れでした。

「純真」という言葉こそ劇中で使われていないものの、「怒り」「悲しみ」という人間にとって基本的な感情を素直に出せるミミの純粋無垢な気持ちがトリガーとなって超進化する流れは、選ばれし子供たちの重要な資質である紋章の意味をしっかりと出せていたと思います。

というかこれ、無印の時とほぼ一緒なんですよね。まずタイトルが無印で初めてリリモンに進化した時の回「お台場の妖精!リリモン開花」からとられているし、あのときもヴァンデモン配下のデジモンたちによって悲惨な状況となったお台場を見て悲しみ、その状況を生み出した悪いデジモンたちに対する怒りが超進化につながった。超進化前の「許さない…!」ってミミのセリフと涙、超進化の時にトゲモンの蕾からリリモンが出てくる演出も同じ。結果的に、無印での良さを効果的に取り入れた名シーンになったのだと思います。

もちろん今作ならではのよさもちゃんとあって、その代表的な例がガードロモンが二度にわたってミミを守ったこと。リアタイで観てた時は、1回目のときで超進化すると思いました。ここがピークかと思わせてまだピークじゃないっていうね…。「えっじゃあいつ超進化するんだろう?」って高揚感、ワクワク感を視聴者に与えられる効果的な演出でした。

ただ今回の話に不満が全くなかったわけではなくて、その1つがアンドロモンの扱い。無印ではめちゃくちゃいいデジモンだったからね…。最後は正気を取り戻したっぽいけど、ガードロモンを倒しちゃったし、(少なくともミミにとっては)完全な悪者でしたよね。でもアンドロモンもガードロモンも完全にデリートされたわけではないので、後から味方になって子供たちがピンチの時に駆け付けてほしい。

あと、リリモンを主役にするなら、今回はメタルグレイモンは出さない方がよかった。進化バンクはめちゃくちゃかっこよかったけどね。おそらくパートナーデジモンのなかでも一番強いであろうメタルグレイモンのジガストームでも倒せないアンドロモンをリリモンが倒しちゃう(正確には機能停止だけど)っていうのはちょっと違和感あったかな。

メタルグレイモン、ワーガルルモンで不安だったけど、リリモンでちゃんとミミの感情を描いてくれたのは救いだった。ミミちゃんの圧倒的ヒロイン感…。これからも何匹もデジモンたちを虜にしていくのでしょう…悪い女や…。少なくともあと3話は完全体の話が続くと思うので、ちゃんと紋章の要素をうまく入れてくれることを期待したい。あと11話でレオモンの存在が明らかになったのがうれしい。今作も子供たちを守って死んでいくのだろうか…。

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