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リリスと私


リリス。アダムの前妻といわれている女性。

神は、自分をかたどって土からアダムとリリスという男女の雛形を作ったのだそうな。
リリスは最初からひとりの「女」として誕生している。

ふたりは神によって結ばれるけれど、リリスは、『アダムと同様に土から生まれてきたんだからその立場は対等だ』と主張し、アダムと度々口論に…。対等であることを許さなかったアダムに愛想を尽かしたリリスは神の名を叫び遠い紅海沿岸に移り住み、別居状態となってしまったのだそう。アダムが何度懇願しても戻ることはなかった。

アダムの一部でも従属物でもなく、対等であることを望んでいたリリス。

対して、アダムの正妻とされているイブは、アダムの肋骨から作られたとされ、アダムや神に従順な女性だったようだ。

リリスという名称は、ヘブライ・バビロニア語の「LYL」=夜の女性形容詞を語源とし、「夜の女性」ともいえることから、まさに正妻であり昼の女性であるイブとは対照的な存在。

イブがアダムや神にとって従順な女性ならリリスは奔放で自分の思い通りにならない存在であったり、男性を惑わす存在であったり、分かりやすく悪として記されている。

私は約10年の結婚生活を通して、リリスと同じ痛み、葛藤を通過してきたのではないかと思う。結局私も家を飛び出した。
イブの仮面をつけたリリスだった私。

元夫は、私が従順で無知で可愛い妻であることを望んでいた。
従順でなければ愛されないというのはおかしいとずっと思っていた。
都合の悪いものにふたをして、表面を取り繕った一見キレイな世界に耐えられなくなったんだ。

私は、占星術にはあまり詳しくないけれど、
神話のリリスが象徴する「女性性のなかにある魅惑的で魔的な部分、隠しておきたい暗い欲望」というのは、占星術のリリスが象徴するそのものでもあるのがとても興味深い。

女性は「母性」と「メス性」というエッセンスでできているとすると、

母性は、月であらわすことができる。
これに対して、その裏にあるブラックムーンとしてのリリスは、秘められたメス的な魅力=メス性をあらわしている。
この社会では、母性は崇め奉られ称賛される要素である一方、
メス性という女性の魅力は、どこか「はしたないもの」として排除される傾向にある。

つまり、リリスは一般社会から追いやられ抑圧された女性性の一部なんだよな。
アダムにとって、イブが理想の妻なら、リリスとは抗えない魅力を持った女性。
後天的な要素によって汚されることのない衝動や欲求でもあるともいえる。


私達は誰しも、イヴ的側面と、リリス的側面を両方持っている。
自分の中のリリスが爆発寸前の火山のように噴き出さんとするタイミングが誰にでも訪れるように思う。

自分にとって本質的ではないものを切り離し
、本来のありかた 正直な感情を思いだそうとする。

そのプロセスでは 
どうしても
過去の傷に向き合うことになる。苦しいけれど…。

傷が癒されるにつれで、今まで分断されていた自分の中のリリスとイブが手を取り合うようになって、いずれ一つに統合されるような気がしている。

復讐心から解放され、パワフルながらも誰をも傷付けない、そんな女性像が立ち上がる。

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