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「何度も最悪のケースを更新される」  ミャンマー非日常日NO.5

4月2日 金曜日

目が覚めたのは5時頃だっただろうか。
ここのところ起きている時と寝ている時が不規則だ。
昨日寝たのは23時だったか24時だったか、どちらにしても今この国では25時からはネットが使えなくなる。
それまでには眠りについたのは間違いないと思う。
まったくおかしな話だ。


 ミャンマーはここ数年で目覚ましい発展をしてきた国だ。
私のが住み始めた2014年の頃はネットが繋がっているところを探すのも大変。
繋がったとしても物凄く遅い。
メールで何十MBのデータなんて送ろうものなら1時間以上かかることなんてザラだった。
YouTubeの動画何てまともに観られたものじゃない。
それでもまだネットが繋がっているならマシな方だった。

そんな状態から3年弱、LTEが来た。
ご存知だろうか4Gというヤツだ。
2017年の5月頃だったかな。
インターネット環境は劇的に良くなった。
私のいるエンタメ業界は特にその影響は大きく、海外の色んな情報が動画で入ってくるようになって、特に若者達の技術が一気に上がり、意識レベルも上がっていったように思う。

日本で言うところの2000年辺りだろうか、世の中にインターネットが広がっていく時のあの感覚をもう一度味わっているのに近いかもしれない。
ただし、その時と違うのはそれよりも一気に進んでいる技術が国に流れ込んで来たってこと。
当時の日本にもスマートフォンなんてのは無かったからね。
こっちの若者たちはいきなりスマートフォンを持って情報を手に入れるよういしている。

月一万円の給料しかもらっていない彼ら彼女らが、一万円するスマホを平気で買う。
それくらい魅力的なツールだった訳だ。
娯楽が少ない彼らが楽しむ為、国民同士がSNSなどを通して交流する為、そして世界の情報を受信し、発信する為、みんな貪欲にインターネットを使っていった。

そういう意味で、後発発展途上国のミャンマーにとってのインターネットは日本のそれ以上に大事なものなのかもしれない。
国民は皆そこからの利益を大いに受け取っていたと思う。
若い人たちはスポンジが水を吸い込むように成長していった。
皆、世界とより繋がる事で、この国の将来に大きな夢を観ていたことだろうと思う。

そんな国民をあざ笑うかのように政権を奪った国軍は人々の希望の源とも言えるインターネットに制限をかける。

理由は至極単純。
自分たちに都合が悪いからだ。
よくもまあそんな幼稚な理由でこんな大それたことをするもんだ。
1時から9時までの8時間全てのインターネットは遮断されている。
その間、軍隊や、警察の恰好をした奴らが家に押し入り、令状もなく市民を連れて行ったり、実弾や手榴弾、ロケットランチャーやはたまた戦車まで使って街や村を蹂躙する。

500人以上の死亡者、その他筆舌しがたい暴虐の限りを奴らは尽くしている。
わかるだろうか?
今あなたが思い付いた全ての犯罪を奴らは平気で犯している。
現在この国には誰も奴らを裁ける人間がいないからだ。
せめて、その様子を世界に伝える為、人々は命懸けでスマホを握りしめ、撮影をし、インターネットを通して世界へ発信し続けた。

もちろん、世界の人々に知ってもらい、助けてもらう為だ。
LIVEで配信していた人も沢山いる。
中にはその事で目を付けられ殺された人もいる。
それでも諦めずに続けていた。

3月15日
夜中のネット制限に加えて、携帯電話でのネットも使えなくなった。
ミャンマーでは固定回線の電話や、ネットはまだまだ普及していない。
インフラが整っていない地方など尚更だ。
多く見積もってもインターネットを使っている7割は携帯電話だけで使っているとみて良いと思う。

想像してみて欲しい。
今日から突然、携帯電話でネットが出来なくなり、夜中の1時から9時まで全てのインターネットが使えなくなるという事を。
一体どれだけの社会的損失があるのか。

ミャンマーで行われているネット制限がもし日本で行われたとしたら毎日兆単位で損失が出る事だろう。
そんなバカなことをどの政権が行うだろう。
考えられない、想像できないと思う。

それをやってのけるのが今のミャンマー国軍である。
軍事政権という愚かで恐ろしいシステムを今、この国に暮らしている私たちは肌で感じている。

後半は有料記事になります。
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