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コロナについて「知性」の側面から眺めてみた~本「コロナ後の世界」を片手に~ パート2

9月に3人を前半として記載した「コロナ後の世界」の続編です。残り3人を後半として記載しようと思ったが、1人ずつ記載していきます。

4人目はこちら。

④認知バイアスが感染症対策を遅らせた スティーブン・ピンカー

ハーバード大学心理学教授のスティーブン・ピンカー氏。進化心理学の第一人者で、2004年には米タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれた。なぜ我々はデータではなく印象論に左右されてしまうのか、そして、未来に期待できる根拠とは何か、ピンカー氏が語った内容を引用して記載し、最後に感想を記載したい。

新型ウィルスの大流行がポジティブな側面や、教訓をもたらしたこと。
左右を問わず、ポピュリストたちが科学や国の制度は腐敗しているから焼き払ってしまえと叫んでいるなかで、サイエンス、公衆衛生、責任ある主流メディアといったけ健全な諸制度の必要性が改めて強調されたこと。
ナショナリズムが再燃する中にあっても、グローバルな国際協力が評価されていること。
将来的なパンデミックを防ぐためのリサーチへの投資が大幅に増加すること。

ジャーナリズムの罪
人はなぜ理性や科学による進歩を正しく認識できないか。原因と一つは、ジャーナリズム。
ジャーナリズムは、どんな日でも、この惑星で起きている最悪の事を選んで報道する。認知心理学では、人は危険が起きる確率を、客観的なデータよりも、身近なイメージや、よく聞くストーリーに基づいて判断することが知られている。「利用可能性バイアス」と呼ばれるバグで、簡単に言えば、「最近遭遇した類似例から判断してしまうバイアス」。ジャーナリズムは、このネガティブなバイアスを作る。

我々はデータを理解できない
残念ながら我々は、生まれながらに統計を理解できるわけではない。例えば、健康で長生きする人が増えたというデータがあっても、自分自身が健康でいられるか分からないから不安だという人がいるが、それは論理的ではない。そうしたあいまいな不安感を解消するためにも、データと統計について学校で早めに教えるべき。

データを正しく理解できるかどうかは、知能の高さは関連しない。犯罪率と銃規制に関するデータで、リベラルと保守で読み解いた結果が異なった。同じデータを見ても解答が異なった。それは計算に強いどうこうではなく、自分の政治的信条に基づいた解答をしていた。知能が高くても偏見があると間違った結論を出してしまう。

インタネットやSNSにおいては自分が見たい情報しか、見えなくなりがち。それは「フィルターバブル」と言う。我々は、自分と異なる意見を持つ人々に対して「彼らはフィルターバブルに入っている」と一蹴してしまうが、私たち自身もフィルターバブルの中にいることに気が付かない。

普段から、自分と意見の異なる人と積極的に意見交換した方が良い。
教育を受けたはずの科学者でさえ、落とし穴の例外ではない。「バイアス・バイアス」と呼ぶ誤謬がある。自分もバイアスに囚われているということを忘れ、自分とは意見の違う人こそバイアスを持っていると思い込むこと。

AIへの不合理な恐怖
AIはツール。ツールの目的は人間が設定する。「危険なシステムを作らない」という倫理が守られている限り、人間の仕事や生存は驚かされない。アドバイスは一つだけ。「落ち着け」です。

原発やAIよりも懸念すべきは核兵器。そして、格差。格差よりも「アンフェアネス(機会の不公正)」に重点を置くべき。

楽観主義になるべき
幸福感は豊かさだけで決まるものではない。民主主義の中で自由に生き、自らの未来を選択できること、そして、頼れる家族や友人がいるという社会的つながり、社会的信用。

目の前の危機に惑わされないために、自分の視点を変えることも重要。過去と現在を比べ、データで現在の状況を冷静に判断しよう。過去に進歩したのだから、我々がこれからも進歩できる見込みはある。
楽観主義も悲観主義も自己予言的。ならば、我々は楽観主義にあるべきでしょう。人類はそうして危機を乗り越え、進歩してきたのですから。

これこそが私の生涯で一番好きな本だーー。
無類の書籍好きとして知られるビル・ゲイツが、新たに「人生で一番好きな本」として挙げた書がある。
それが、ハーバード大学教授のスティーブン・ピンカーによる『21世紀の啓蒙(原題:Enlightenment Now)』だ。世界が混沌さを増す中、人類がこれまで遂げてきた「進歩」を見つめ直す力作だ。
ピンカーは、これまでも『暴力の人類史(The Better Angles of our nature)』をはじめ、人類の進歩を問う大作を何度も世に送り出してきた巨匠。

スティーブン・ピンカーはビル・ゲイツからも好かれている模様。
そんなピンカー氏のパートを読んでから、私が行動を変えるように意識していること4つ。

1. ジャーナリズムに気を付け冷静に日々のニュースを見ること。

2. データを見るときも主観が入って分析したり回答を導いてしまうリスクがあるため、一次データを見て客観的に考えること。

3. 「フィルターバブル」や「バイアス・バイアス」に気を付ける!周りにフィルターやバイアスのある方々は多い。

4. 自己予言的に。楽観主義に生きていくこと。


世界の知性から学ぶことは多い。残り2人(スコット・ギャロウェイ、ポール・クルーグマン)の内容も面白かった。次回頑張って書いていきます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。スキやフォロー、コメントなどよろしくお願いいたします。

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