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A型事業所の経験談

私は最近まで就労継続支援A型(以降A型と書きます)に通所し働いていましたが長続きしませんでした。その理由と体験談を書こうと思います。

A型について軽く説明すると、一般的な就職(パートアルバイトも含む)が難しい障害者が、雇用を結びながら働く場を提供してもらうという福祉サービスです。他には雇用契約を結ばない就労継続支援B型、一般就労にむけて就労活動を行う就労移行支援というサービスもあります。

退所した理由は事業所の環境や人間関係へのストレスによる心身の調子の悪化です。どんな事にストレスを感じたのかは以下の通りです。

金銭的負担の大きさ

私が通っていたA型は、住んでいる県の中心地にあったため利便性はとても良かったのですが、交通費はお給料から天引きという形でした。
交通手段は電車で往復300円ほど。通所回数が少ない月だと都度払いの方が安くすむ為、ICカードに1000円ずつチャージしながら通所していました。この手間も結構なストレッサーになりました。
更に、私の場合は毎月の福祉サービス利用負担と昼食代(希望者のみ)も天引きだったでした。高時給のお仕事であれば問題なかったのですが、県の最低賃金で週5日の5時間ほどだったため、好きな物(私の場合はコスメなどです)を買う余裕などはなかったです。
最初に説明を受けていた時に理解していたはずでしたが、やはり実際に働いてみると、好きな物すら買えない状況っていうのは結構モチベーションが下がりやすいですね。

色々な事業所を調べたり見学したりしましたが、高時給で交通費支給、一般企業のお仕事のようなある程度の負荷の高い事業所は少ないようです。でも中にはきちんと交通費を出してくれる事業所もありますので、そういった部分もきちんと調べておいた方が良いと思います。

手すき時間の発生と作業の物足りなさ

作業は主にデスクワークが中心で、データの入力や通販の発送代行および在庫確認、書類の封入、紙の裁断、アクセサリー作成などを行っていました。
座って出来る軽作業が多かったので身体的負担は少なかったですが、たまに手すきが発生し、物足りなさを感じる時がありました。
手すき時間はA型でなくても発生する場合はあると思いますが、作業が無いためタイピング練習をしていた事もあり、タイピング練習でもお給料が発生するという事に申し訳なさと不安があったため、少し苦痛に感じました。

これからA型を利用検討している人は、通いやすさ、雰囲気だけではなく、仕事内容も自分に合いそうかを、見学や体験でしっかりと見極めたほうが良いと思います。とくに、一度一般就労を経験している状態やバリバリ働いていた人、じっと座って作業をする事が苦痛な人だと物足りなさやしんどさを感じやすいと思います。

支援者と話が噛み合わない

これは私自身の苦手な特性にも関わってくるのですが、支援者と話をしていてなぜか話がかみ合わず、一生懸命に伝えようと紙に書いて渡してみたり、チャットツールや電話を使用して何度もお伝えしてみるものの、話の半分も相手に伝わっていないという事が頻発しました。
「なぜ自分の伝えたい事が支援者側に上手く伝わらないのか?」というのが分からず本当に悩みました。一度支援者の一人に「私が言っている事分かりますか?」と聞いてしまった事があります。その支援者は「はい、分かります」と言っていたのですが、実際には伝わっておらず、返ってくる言葉や行動もとても納得がいくものではなかったため、自分自身の中でだんだんと「こんなにたくさん伝えても伝わらないのは、自分の伝え方が悪いんだ・・・もっと伝え方の勉強をしないと!!」という気持ちが生まれ、人に伝える方法をYoutubeで見てみたり、ネットで検索してみたり、メモやチャットでの伝え方を考えてみたり・・・色々やってみました。
しかし、ある事がきっかけで、私の伝え方の問題だけではなく、そもそも支援者側が私の話を聞いていないという事が分かりました。頭が真っ白になり「支援者に理解されるために力を注いでいた」事にストレスをためていた無駄な時間に対しての怒りと、上手く伝える事が出来ない自分に対する劣等感がどんどん溜まっていき、とうとう体調が悪化してしまいました。

支援者は福祉の人間ではありますが、人間なので何でもかんでも理解してもらえるかというとそうではないですね。そこは自分も相手に求め過ぎていた部分があったと反省しています。『相手に理解してほしい』という気持ちが強すぎると、コミュニケーションが上手く出来なくなってしまったり、今回のように相手との関係を自ら壊してしまう要因にもなると思いますので、ある程度のスルースキルや相手に求め過ぎないようにする事が大事だと思いました。相手に自分の事を伝えるスキルを磨くのは大切ですが、相手に理解してもらう事ばかりに力を入れるのは相手と自分どちらのためにもならないですね。

福祉施設ならではの雰囲気への違和感

A型は一般雇用と同じく、雇用契約を結んで働く場所ではありますが、個人的にはやはり一般雇用とは大きく違う部分を感じながら働いていました。
まず違う所は、私も含めて利用者の遅刻早退欠勤が凄く多かった所です。
ソーシャルワーカーに一度「A型とB型どちらが休む人が多いのか?」と尋ねてみた所、ソーシャルワーカーは「B型の方が多い」と言っていました。
しかし、私は本当にそうなのか?ちょっと疑いました。
通っていた事業所は、利用者の体調優先で、ちょっとでも具合が悪いと休んだり早退することが簡単にできました。週に1~2度来るかどうか?みたいな人もいました。事業所の中には簡単には休めないという所もあるという事を聞いた事がありますが、本来はそれが当たり前の事だと思います。でもそれが当たり前ではありませんでした。
障害者は体調をすぐに崩しやすい人が多いので仕方ないとは思いますが、一般企業のように、休まないのが当たり前という雰囲気ではなくとにかく『無理をしないで通う』というのが目標だったので、通所した日には「今日は通えましたね!がんばりましたね!」と言われます。一般企業でそのような一言を上司から言われる事はないと思います。一般のお仕事がしたかった私はその一言が地味に苦痛でした。その一言を聞く度「自分は福祉サービスを受けているんだ」という現実を何度も突き付けられ落ち込みました。プライドの高さがそうさせてしまっていました。
そして、私が最も一般企業との違いや違和感を感じたのが、スタッフが特定の利用者に、タメ口で話をしていた所です。例えばその利用者が通所してきたら「○○さん、来たね!」とか「〇〇さん、△△した?」というような感じで、正直まるで子どもに話しかけているような話し方で接するのです。
その利用者がそのような対応を希望しているのであれば仕方ないとは思いますが、私には正直なところ、違和感しか感じませんでした。言い方が悪くて申し訳ないのですが、とても気持ちが悪く感じてしまいました。
現在クローズで清掃のお仕事をしており、上司や先輩からタメ口で仕事を教えてもらう事がありますが、そのタメ口とはニュアンスが全く異なります。

最後に

私はA型に通うまでに短期間での離職を繰り返しており働く自信を喪失しかけていました。
『A型を利用する事で働く自信を付けることが出来る』というパンフレットの言葉を信じましたが自信は付きませんでした。お金を払って体調不良になりに行くという気持ちにしかなりませんでした。
他の利用者も一般就労目指して頑張ろうと言う気持ちを持って通所している熱量の高い人はあんまりいないように感じました。実際に「ここ辞めたら違うA型に通う」と言っていた人や「辞めたら次の場所見つかる気がしない」と言っていた人もいました。遅刻早退欠勤者の多さは事業所自体の雰囲気や作業負荷の低さや質などから起こっているのではないか?というのが正直な思いです。
もし今A型を検討している人がいたら、私みたいにならないように、事業所選びは慎重に行い、どんどん見学や体験、他の事業所との比較を行い、長く続けられそうな所を見つけて行ったほうが良いと思います。
私はA型をすぐに退所してしまったため、次もし利用したいと思っても、役所の方が申請を受け付けてくれるかどうか微妙な所です。A型は雇用されやすいですが、あくまでも福祉の域を出ていないため、利用は本当に慎重に行ったほうが良いと個人的には思います。

以上がA型の体験談です。



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