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#148 【雑談】2023年に解禁されるデジタル給与払いについて

今回は、社会情勢的なところに目を向けてみたいと思います。
2023年から給与支払いがスマートフォンアプリなどのデジタルマネーによる振込が可能になります。

デジタル給与支払いとは

出典:写真AC

PayPayやd払いなどの電子マネーが生活にも根付いています。
企業から労働者への賃金の支払いは労働条件の最低基準を定めている厚労省が指針を決め、労働基準法に定めています。

現在の議論・論点

システムの安全性やプライベートのセキュリティを確保できるのか現在も議論されています。PayPayやd払いなどの「資金移動業者」を介して企業から労働者の決済アプリ口座に送金されます。

給与を指定口座などに振り込まれた労働者は、口座から引き落としすることなくアプリからそのまま買い物が可能になります。
デジタル給与支払いを開始するために、今なお厚労省では省令を見直し、企業によるデジタル給与の準備を進めています。

▼デジタル給与が可能になる資金移動業者とは

ひとくちにデジタル給与と行ってもどの媒体でもOKになるわけではありません。資金移動業者は体制要件やセキュリティ、財務状況などを厚労省に報告し、厚労省から指定を受ける必要があります。
現在、資金移動が可能な業者は、約80社前後あるといわれています。そのなかで指定要件を満たすのは限られた業者になるようです。

▼日本や企業がキャッシュレス決済を促進している背景

なぜキャッシュレス決済が注目されているのか調べてみました。そのなかで、2つの理由が特に大きいのではないかと思います。

①インバウンド(訪日外国人)の消費の拡大
コロナの影響もあり、国内外に旅行する人も海外からの訪日観光客も減っています。しかし、これからも海外から学業や仕事で訪日する外国人は多いと考えられています。
今後、キャッシュレス決済が普及している国から日本に訪日した際、支払いの多様性を持っていると日本経済の活性化にもつながる。

②人手不足の問題解決や生産性向上
少子高齢社会にある日本では、毎年人手不足による問題が深刻視されています。
キャッシュレス化の促進によりレジ対応が軽減されることがお店側にとっても、お客さん側にとっても利用しやすく、人手不足の問題解決や業務の効率化、作業ミスの削減にもつながることが期待されています。

▼デジタル給与のメリット

利用者の最大のメリットは、前述のように決済アプリに給与が振り込まれれば、「チャージ」する手間が少なくなります。
現金払いからデジタル払いに切り替わっていけば、手数料の負担も減る可能性があります。
国内にいる外国人労働者の中には、銀行口座を開設しづらい人もいます。外国人にとってもデジタルマネーにより給与を受け取りやすい社会になっていきます。

給与の受け取りから日常の買い物まで、スマホやICカードでの仕組みが整えばキャッシュレス進展の手助けにもなります。
お金の流れや消費動向などの分析や家計簿をつけることにもつながるかもしれません。データ分析による消費動向の把握やデータをもとにした新しいサービスの開発・提供も期待されています。

キャッシュレス推進協議会によると、
2020年時点での日本におけるキャッシュレス決済比率は3割ほどです。
先進国の中では、ドイツ同様に現金支払いが根強く残っています。
キャッシュレス決済比率が6割以上になっているオーストラリアやイギリス、5割を超えているアメリカに比べると、日本もドイツも後進国になっています。

給与がデジタルで支払われることで、日本国内のキャッシュレス決済比率が上がっていく助けになるのかも知れません。

出典:写真AC

▼デジタル給与のデメリット

最も懸念されているのが、資金移動業者が経営破綻したときのリスクマネジメントです。
どのような仕組みで利用者の資金を守るかに焦点が当てられています。
労働政策審議会でも「資金移動業者が経営破綻した場合、スムーズな払い戻しを行うための資金保全に懸念がある」と指摘されています。現在も議論されています。

給与の確実な支払を担保するために、本人確認やセキュリティを徹底することにも課題があります。
ハッキングなどによる資金の不正流出やセキュリティー不備による不正送金が起きないようにするための整備が求められています。

▼現在の給与支払いのルール

労働基準法24条によると、「資金は、通貨で直接労働者にその全額を支払わなければならない」と定められています。モノなどの現物支給は法律違反となります。

労働法の「資金支払いの5原則」によると、
(1)通貨
(2)直接
(3)全額
(4)毎月一回以上の頻度
(5)一定期日
と定められています。

実は、銀行口座への給与振込は法律上では違反となっています。
しかし、企業と労働者の同意があり、希望者も多いので円滑な給与支払いを進めるために例外的に認められています。

▼具体的な方法

資金移動業者が発行するプリペイド(前払い)式の給与振込要カード「ペイロールカード」が導入されることが想定されています。
企業は銀行などの金融機関を経由すること無く、ペイロールカードの口座に振り込むことが可能です。

こうしたペイロードカードとLINE Pay、PayPay、d払い、メルペイなどのキャッシュレス決済事業者のサービスが接続されます。
給与を残高として取り扱うことができれば、買い物でスマホ決済がしやすくなります。ATMなどで現金を引き出すことが可能です。
アメリカで普及しているペイロードカードが日本でも導入されていくのかも知れません。

給与を受け取る方法に変化があれば、私達の生活にも大きく影響があります。そういったお金の受け取り方についてもどんどん勉強していきたいと思います。

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