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『もしも命が描けたら』(YOASOBIさん)

 自分は、よく音楽をかけ流ししながら作業をするのですが、偶然YOASOBIさんの『もしも命が描けたら』に出会いました。初めはその切ないメロディに惹かれ、その後じっくりと歌詞を読んでみたら、約3分半にギュッと濃縮された物語に惹きつけられてしまいました。
ということで、今から2年以上前にリリースされたこちらの曲について、今更ながら自分なりに語ってみたいと思います。

 『もしも命が描けたら』は、鈴木おさむ氏が作・演出する舞台で、同タイトルのテーマ曲をYOASOBIさんが手がけました。人生に絶望していた主人公が、突然「描いたものに命を分け与える」不思議な力を手に入れ、その力を使うことに生きる意味を見出すというストーリーです。変わるモノ(=人)に生きる意味を見出していた主人公が、変わらないモノ(=自分の能力)に生きる意味をシフトさせたコントラストがとても印象的でした。

 歌の中で、主人公が愛した女性(あなた)は「生きる喜び」と表現され、描くこと(使命)は「生きる意味」と定義されています。時の経過とともに、人は変化し、移ろいゆきますが、使命は変化しにくいものです。

 例えば、RPG風に言うと、こんな感じでしょうか。勇者は「世界に平和をもたらす」という使命を持っていました。そのため、勇者は魔王を倒す旅に出ました。旅の道中で仲間と出会い、培ってきた絆に喜びを見出しますが、仲間の一人が突然「故郷に帰る」と言い出しました。もし、旅の目的が仲間そのものだったら、喪失感で道しるべを見失ってしまいますが、勇者の使命は「平和をもたらすこと」なので、このまま旅を続けることができます。もしかしたら、次の村でまた新たな仲間との出会いが待っているかもしれません。

 このように、心の拠りどころを複数持ったり、自分の軸を自身の中に見出したりできると人は強くなれますよね。

 脱線しましたが、この歌の主人公は文字どおり命を削って使命活動をしていましたが、(命は削らずに)ハートを燃やせる使命を見つけることが出来れば、このうえなく幸せですね。

 ikuraさんの澄んだ歌声に心があらわれると同時に、清川あさみ氏が手がけるミュージックビデオの世界観に魅了されます。特に主人公が使命を見つけたあとに次々と描いていく色鮮やかなグラフィックが素晴らしく美しいです。ストーリー性、作詞・作曲、歌声とMVの表現力…まさに多くの才能たちが一曲に結集した産物です。

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