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バスといえば

自宅近くのバス停から乗った駅行きのバス。
他に2人しか乗っていない空いた車内の最後部座席の真ん中に浅く腰掛けて、イヤホンで音楽を聞いていた。
90年代に流行った大切な曲がかかったとたん、住宅地を抜ける車窓の景色が、興味のないスクリーン映像のような不思議な感覚になった。

このままどこまでも行ってしまいそうな、行くことができそうな雰囲気が、バスにはある。とくに路線バスに。

同時に行けそうだが結局は引き戻される感じ、終わりの始まりな感じ。

結婚式で奪った花嫁を連れてバスに飛び乗る「卒業」の最後は、痛快な場面が一転、サイモン&ガーファンクルの「サウンドオブサイレンス」とともに、2人の未来は決して明るくないと予感させて幕を閉じる。

確か「ゆれる」のラストでもバスが使われていて、香川照之演じる兄とオダギリジョー演じる弟の関係を暗示させた。

バス繋がりで思い出す映画といえば、キアヌ・リーブスとサンドラ・ブロックの「スピード」、「あの頃ペニーレインと」、「リトル・ミス・サンシャイン」、「バベル」。邦画なら「ユリイカ」とかあるな。

路線バスを乗り継いでアジアからヨーロッパへ旅する沢木耕太郎の「深夜特急」もあった。

※2015年12月

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