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『ディア・ハンター』

鉄鋼が盛んなピッツバーグ郊外。工場で働く男たちは、ベトナム徴兵を控えていても、パーティで飲み、踊り、二日酔いのまま車で乗りあわせ山で鹿狩りを楽しむような日常を送っていた。皆家族のように濃く結ばれていた。

場面は一転して戦場。川の上の簡易収容所でベトナム兵が、捕虜にロシアンルーレットをさせて賭けを楽しんでいた。
テーブルを挟んだ捕虜2人が、1発の弾丸を詰めたリボルバー拳銃を自分のこめかみに向かって交代で引き金を引くゲームだ。頭を打ち抜いてしまった者は川へ捨てられ、次が呼ばれる。

順番の回ってきたマイケルとニック。冷静で強い心臓のマイケルは、狂ったふりをして、3発の弾を入れることをベトナム兵に要求する。彼が自暴自棄になっていると思い込んだベトナム兵の隙を突く脱走計画だった。

凛々しい軍服で地元に帰還したマイケルだったが、帰国後も車椅子で身を隠したスティーブン、ベトナムに残ったニックを案じ元通りの生活には戻れない。

公開当時の封切映画館の多くは、今と違って大スクリーンの劇場スタイル。
拳銃をこめかみに立てるロバート・デ・ニーロの狂気が強烈に記憶されていて、ストーリーを忘れていた。
37年ぶりに観た。
仲間の葬儀の後馴染みの店に集まった仲間たち。誰ともなく唄い始める「God Bless America」。アメリカよ、我が愛する国よと声を合わせ唄い3時間を超える映画が終わる。

※2015年6月


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