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ふみサロ5月課題≪その本は≫を読んで

2022年6月からエッセイ塾、ふみサロに参加しています。

毎月課題本から得たインスピレーションをもとに800字程度のエッセイを書き、参加者同士で講評する。SNSで発信するまでが課題。
8月から、SNSに投稿してから合評会となりました。

以下がエッセイ


思い出の本

特別本が好きだったというわけでもなかったが、
幼稚園の頃、どこへ行くにも一緒に持ち歩いていた本があった。「その本は」、文庫本のサイズで、中の紙はピラピラと薄い感じ。字が小さいし、漢字もたくさんあって、何が書いてあるのかは全く分からなかった。小さいながら、本を持ち歩くのがかっこいいと思ったのだろうか。本を片手に、ペンで書き込みをするというのに憧れがあったようで、蛍光ペンで文字に線を引いて遊んでいた。最初の数ページだけだったけど、夢中で線を引いていた。

いつのまにか、その本のことは忘れていた。

高校生ぐらいまではあまり本を読まずに過ごした。

大学生になり、電車に乗る時間が増えて、再び本を持ち歩くようになった。電車で読むときはガタガタ揺れるからペンで書き込みはせず、読み飛ばしていた。その時は、なるほどーと思いながら読んでいるのに、しばらくたつと、忘れていることも多かった。

ピアノ教室を始めるにあたり、どうやってピアノを教えるか全く分からないところからスタートしたので、手当たり次第に本を読んだ。実際に教えてみると、スポーツ関連や心理学の本がとても参考になることも知った。普段の練習への取り組み方や、監督の考え方、いかに試合(本番)で力を発揮させるか、という場面はピアノを演奏するときと状況が似ているので、音楽の場合はどうか?という自分の考えや感想などを書き込みをするようになった。
すると、まるで著者と一緒に会話をしながら読んでいるような気分になり、著者の存在も身近に感じるようになるし、読んだ後の充実感が変化してきた。今まで、書き込みもせずに読み飛ばしていたのがもったいなく感じるほどだった。
線を引きながら、自分の言葉も書き込みながら本を読むことで、一緒に旅をした友だちのような、特別な「その本」になる。
時間を経て、もう一度読み返してみたら、今度はどんな書き込みをしたくなるだろうか?
             おわり


毎月のことですが、課題本を読んで、まず何を書いたら良いのか・・・本当に悩みます。
今回は、課題本を読んで、子どもの頃に持ち歩いていた本のことを思い出したので、そのエピソードを書くことにしました。



今月の課題本


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