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松ちゃんと僕のものがたり その1

  
1、 はじめに
 一時期、駅や空港で「松ちゃん元気ですか」と声をかけられることが続いた。ある時は、東京駅で、ある時は国際通り(沖縄)のスタバで。なんで、松ちゃんを多くの人が知るようになったかというと2009年3月にNHK総合で放送された「プロフェッショナル仕事の流儀 第112回 『絆が、人を生かすから』」(https://www.nhk.or.jp/professional/2009/0310/index.html)の最後のパートに登場したのが松ちゃんだったのだ。その衝撃は放送を見た人達が「松ちゃん」を気にかけるほどに大きかった。あああ主役は僕なのに・・・。でも、この人にはかなわない。この「松ちゃん元気ですか」は、あれから10年以上経った今でも時々尋ねられるから本当にすごい。
 でも、松ちゃんはもういない。松ちゃんが天国に行って三年になる。行ってと言っても今も実感はない。そこの角あたりからひょっこり顔を出すんじゃないかと思っている。「ああ、奥田さんや。死んだと思たやろ。そうはいかんよ」なんて言うな。絶対言う、なんせ松ちゃんやからな。
 天国に行ったというのは僕の信仰告白(何を信じているか)ということなので何らの確証はない。ご本人は「俺は地獄やろう」と言うだろうし、その方がお似合いだと正直思う。まあ、僕も天国に行く自信はないので、これはもう信じるしかない。だいたい松ちゃんと二人地獄で暮らすのもどうかと思うし、行くのだったら二人で天国の方がやっぱり良い。だから、そう信じることにしている。
 松ちゃんは、僕にとって忘れることのできない人。おかしく、やさしく、孤高で、それでいてチャーミング。まだ78歳だった。早すぎる。いや、殺しても絶対に死なないぐらいの生命力の持ち主で、10年近くに及んだ野宿生活も立派に勤め上げた逸材で何度も死線を越えてきたのに車に突っ込まれぐらいで死ぬなんて。
 突如としてその日はやってきた。2018年4月12日。「さよなら」も言わずに逝ってしまった。ほんとに最期まで勝手なオヤジだ。神様は、たまにそういうことをされる。だから時々神様が嫌いになる。あの時は「絶交してやろうか」と真剣に考えた。でも、そんな勇気もなかった。
 今から書くのはそんな松ちゃんと僕との物語である。(不定期に連載します)

つづく

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奥田知志

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