問題解決も自己実現も、全ては「出会い」から

抱樸は「ひとりとの出会い」を大切にしてきた。
福祉が制度の縦割りとなっていく中で「人を属性で見ない」という在り方を求め続けた。つまり、「ひとりの人との出会い」から、必要な仕組みを創ってきた。結果、子ども支援、家族支援、更生支援、障害福祉、介護事業、もちろん居住支援など、抱樸は、27の事業を実施している。
NPO団体の多くが「専門分野」を明確に持っている。「子ども支援のNPO」や「就労支援のNPO」、あるいは「ひとり親支援のNPO」など、ホームページを見るとその団体が何をやっているのかひと目で解る。
正直、抱樸は解りにくい。こういう在り方は、なかなか理解されず、いまだ「ホームレス支援のNPO」と紹介されることが多い。
　

いま、抱樸の新しいホームページづくりが進んでいる。
その中で私がもっとも悩んだのは「抱樸の活動をひとことで言うと何か」ということだった。確かにホームレス支援から始まったのだが、そもそも「ホームレス」という人はいない。「奥田さん」とか、「山田さん」という名前のある個人がいただけだ。その個人の中に、家が無い、お金がない、障害があるなど様々な困難が混在していた。当然、個々人が抱える困難は、種類も重さもまちまちだった。
だから、「ホームレス支援」と言っても、名前のある個人に対する「個別支援」が実情だった。かと言って、ホームページに「個別支援のNPO」と書いても解らない。
「その人支援のNPO」、「人間に対する支援のNPO」、「なんでも支援のNPO」・・・・。どれもピンとこない。困った。

「障害福祉の父」と呼ばれた糸賀一雄は、「生産とは自己実現である」と言った。
生産とは、お金や物を作り出すことに限定されて語られることが多い。しかし、そもそも人間にとって生産とは、その人がその人として生きることであり、生産性の高い社会とは、その人に与えられている力や個性が十分に発揮される社会だと糸賀は言いたいのだと思う。抱樸が目指してたのも、まさに「その人がその人として、その人らしく生きること」であった。

ちなみに私は、第20回糸賀一雄記念賞を受賞している。

 公益財団法人　糸賀一雄記念財団ページ http://www.itogazaidan.jp/date/

「この子らを世の光に」と語る糸賀のことばに身が引き締まる思いでいただいた。糸賀は54歳で他界している。私は54歳でこの賞をいただいた。
同じ年で糸賀がなした偉業と若くして旅立った無念さを思いつつ授賞式に臨んだ。
　
だが、今日の社会においては、「生産性の有無」が「経済（お金）」に特化して捉えられ、「生産性が低い」とみなされた途端に存在が否定（相模原事件等）される事態も生じている。
抱樸が大切にしてきた「その人らしく生きることへの支援」は、糸賀が言う「自己実現」であり、歪んだ「生産性第一主義」に対する抵抗（カウンターカルチャー）だったと思う。
　

「自己実現」には欠かせないものがある。それは「出会い」だ。「自分探し」が流行ったことがあるが、人は独りぼっちでは自分を見出すことなど出来ない。あるいは修行僧ならば、それも可能かも知れない。しかし、私のような凡人には無理で、どうしても「他者」が必要だった。人は孤立状態では、自らの困窮にさえ気づけない。自分に与えられた賜物を見いだすこともままならない。
とにもかくにも「ひとりにしない」、「ひとりにならない」ことが「自己実現」には必要だ。問題解決も自己実現も、全ては「出会い」から始まる。

　新しいホームペイジのタイトルは
「『ひとりにしない』という支援－NPO法人ほうぼく　抱樸」となった。
さて、分かり易いか？もうすぐお披露目となる。多くの人に御覧いただきたい。 

！！NEWホームページ 公開しました！ ！
こちらです →      https://www.houboku.net/

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