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すべての本好きに読んでほしい物語『本を守ろうとする猫の話』

今日は、本の紹介 第2弾です。
今回紹介するのは、映画やドラマ化もされた『神様のカルテ』の著者 夏川草介さんが贈る、『本を守ろうとする猫の話』(小学館文庫)という小説です。

本が大好きな人にぜひ読んでほしい本です。本が好きすぎるゆえに一度はモヤモヤした内容に、真正面から向き合っている本だからです。

今回は、ネタバレは避けつつ、わたしが感じた「本にまつわる疑問やモヤモヤ」と一緒に、お話に登場するテーマを少し紹介していきます。

まだ読んだことがない方は、「面白そうだな」とか「読んでみたいかも」と思っていただけたらうれしいです。既に読んだことある方は、ぜひ、この本の好きなところやご自身の考えなどをコメント欄で教えてくださいね!


1.本の要約は「悪」なのか?

便利なサービスとして注目される、要約サービスの是非とは?

このお話では、スゴくざっくり言うと、「それぞれの本の世界に行き、ヌシ的な存在の暴走を止める」というものです。ゲーム化もいけそうな設定ですね。

そのなかで、わたしがグッと引き込まれたのは、第2章となる『切りきざむ者』の章です。この章でテーマとなっているのは、最近注目を集めている本の要約サービス・要約そのものについてです。

ちなみに、わたし自身で言うと、要約サービスは会社で一時期導入されていたこともあり、かなり利用させてもらってました。主に、ビジネス書メインではありますが、話題の本をさっとポイントを押さえて、「もっと詳しく知りたい」や「この本は手元に置きたいな」と思う本は自分で購入したりと、自分なりに上手く使わせてもらってました。

そして、その読書活動の一環として、アウトプットも大事だと思い、要約の感想を簡単にまとめたものを社内向けのSNSにアップしたりしていました。
そこで、一人のメンバーが何気なく言った言葉がずっと引っかかっていました。

「要約の要約」なんて、絞りっカスくらいしかないでしょ(笑)

確かにそうかもしれません。
むしろ、アウトプットを受け取った方への配慮よりも、ただ自分自身の読書の一環として書いていたものでした。本を読むことの大切さや読んだ本の内容をより自分に落とし込むためのアウトプットでしたので、自分の行動のみにフォーカスし平静を装っていましたが、内心はかなりドロドロとした感情がマグマのように煮えたぎっていたのを覚えています。

もちろん、要約だけをたくさん見て、すべてわかったような気になっているのはわたしも反感を覚えますが、それでも、さして本を読んでいない(と思われる)メンバーのこのつぶやきは、未だにどこか引っかかっています。
*実際、その後、色々な本を読むようになったみたいで、今はまた違う考えかもしれませんが。

そんな心の奥底にあった澱(おり)のような感情を呼び覚ましてくれた章でした。
あなたは、本の要約ってどう思いますか?

2.本に書き込みをするのは「悪」か?

本そのものは作品か?複製ではないのか?汚すことは悪なのか?

こちらも本好きなら必ず考えたことがあるテーマではないでしょうか。本に書き込みをしていいのか問題です。

順番は前後しますが、第1章『閉じ込める者』では、本をコレクションとして収集する相手が出てきます。初版や装丁が豪華な本は、綺麗なまま残しておきたいですよね。ですが、「それを閉じ込めるようにして保管するのは、本の姿としてどうなのでしょうか」というのが第1章のテーマです。

わたしの話をすると、わたしはどちらかというとコレクター気質があるので、本に書き込むのは基本NG派でした。しかし、大いに影響を受けている中田敦彦さんのYoutube大学を見て、少し考えが変わりました。

自分のなかに落とし込みたい内容であれば、書き込むこともアリかもしれないと思い、少しずつ手を加えるようにしています。書き手目線としては、大切にしてほしいのはもちろんですが、それ以上に、ちゃんと内容を読んで、「各々の人生に生かしてほしい何かを感じてほしい」ということに尽きるのではと思います。
それでも、わたしがやっていることは、挿入された表に色鉛筆でカラフルにしたり、透明な付箋を付けたりと、だいぶ控えめではありますが(笑)

3.その他にも、本にまつわるモヤモヤがいっぱい

その他にも、「選りすぐりの本を置いていた、古本屋は廃れていってしまうのか」というお話や、「売れるかどうかこそ大切だ」というお話など、本にまつわるモヤモヤが、あくまで物語に則った形ではありますが、リアルに描かれていきます。

この話を、本でやることにこそ意味があると思いつつ、その勇気、そして、本当にこの問題提起がしたかったのだなという想いがひしひしと伝わってくる、そんな素敵な本でした。

また、そうした問題を投げかけるだけでなく、名著のオマージュや描写がたくさん出てきます。わたしも正直、わかるものが全然ないので、これを機に読んでいきたい側なのですが、そうした部分も含めて、やはり、本好きのための本なのだとしみじみ思うお話でした。

さなだまる。さんがつぶやいている、この本の感想が、正にわたしも同じ気持ちをうまくまとめてくれていました。

なお、続編が2024年2月に、新書として発売されています。
凄く好きな本なので、続編のこちらは文庫化を待たずに買おうか悩み中です。

以上、今回は、夏川草介さんの『本を守ろうとする猫の話』(小学館)の紹介でした。
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