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雑記/Prince/20240522

プリンスを聞きながら散歩をするのが楽しい。プリンスのドラムの音ってそこまで分離よくないし今聞くと80sっぽいちょっとチープな質感が、正直自宅のスピーカーで聞いても普段よく聞く70sや90sの生音重視の音楽と比べてそこまで音の良さがダイレクトに伝わる感じはしない。イヤホンで聞くって感じでもないので、結構その辺歩きながらスマホのシャカシャカした劣悪なスピーカーで聞いても元がスカスカなのもありリズムが強調されて普通にそのグルーヴで踊れる。むしろしっくりくるまである。地元、田んぼ道がえんえんと続くみたいな地域なので時間帯によってはほとんど人がおらず、基本的に住宅もないような両脇田んぼみたいな小路を歩いているので結構普通に流している。楽しい。

プリンスはアルバムが多くあんまりちゃんと全て辿って聞いたわけではないけど、昨年80sのファンクとしてプリンスを聞き始めたので初期をすっ飛ばして名盤と呼ばれている中期、具体的に1999からスタートして現代へ追う感じだった。普通にミスでした。その時点での自分のベストは1999で、それならまぁ、前作のControversyはマストで聞いとけよって感じですよね。今更気づきました。てことで最近1stから順を追ってここまで聞いてたけどこのアルバムは最高。これ以前は普通に良質なソウルミュージックという感じでたまにプリンス節とも言えるスカスカでミニマルなビートが登場する・・・という印象だったけど(2ndが結構好きです)、今作から、所謂80sポップとも通じそうな煌びやかで弾力のある彼特有のサウンドが全面に押し出され始めて、歌の方も線の細いファルセットメインのソウルっぽい感じから今のイメージへ。M1(表題曲)やM7のLet's Workはスカスカでリズムを強調したダンスナンバーとも言えるプリンス節全開のファンキーな2曲で、1999のファンク色強いともかなり近い(自分が一番好きなとこでもある)、というか普通にそのまま延長線。Controversyは長尺の曲だがギターやシンセのフレーズが80sポップとしても聞けそうなくらいキャッチーで派手、このリフレインを残しながら1999でのポップネスと実験精神が融合したような雰囲気が既にちょっと見てとれる。結構ハードなギターが登場する曲もあってパープルレインまでの布石というか、今作-1999-パープルレインまでは繋がってるように思えた。

最高。一番好き。10年前に洋楽名盤として聞いたときはさっぱりわからなかった。ここ1年くらいになってようやくフェイバリットとして挙げられる作品になったと思う。A面は80sポップの色が強くてこのごちゃ混ぜ感に当初ずっと混乱していたというか、自分がそもそも80年台、ニューロマとかニューウェーブとかソフィスティポップとかあの辺の境界が曖昧でAORやディスコもあるし、この辺の音楽シーンにあまり明るくないのもあって、プリンスは雑に当時っぽい時代のサウンドを反映しながらもかなり個性的であらゆるものを内包してる感じがして、有名どころの一つくらいの感覚で聞いたときは中々わかりづらかった。俺はたぶん自分の中に出来上がったジャンルの型がまずいくつかあって、新しい音楽と出会うとその音楽に合った形の型を自分の中でハメて、しっくりくる部分、はみ出した部分でその音楽の輪郭をハッキリさせていくみたいな聞き方をしてるのだと思う。プリンスは、そこがめちゃくちゃ曖昧というか、ハメるべき型がなにかわからない、もしくは自分の中にまだ存在していなかった。「ファンク」として有名だった先入観からJBやSlyみたいな音楽の延長として聞くには毛色がまた違うな・・・と思っていた。最近はファンクとかソウルとかブラックミュージックとしては一旦離れてみてScritti PorittiやXTCあたりと並べて聞けるものとして認識することでグッと近づけた気がするし(ここら辺の理解はTalking HeadsのSpeaking In Tunguesあたりからもらえた視点だと思う)、昨年ずっとファンク大御所を聞いていたおかげか、後のアルバムであるSign O The Timesを聞いたときにSlyやSlyのソロ作とかと並べて聞ける要素を見出せるようになった。そのままParadeだったり、1999が割と普通に聴けるようになった・・・という感じ。まぁ、単純に自分の琴線にぶっ刺さってきた大名曲「Lady Cab Driver」というのがあってそのおかげというのもあるかも。とびぬけて好きな曲が1曲でも見つかるとグッとアルバムを聞きやすくなりますよね。中心地が見えるというか。Lady Cab DriverはSlyよりJBラインでも聞けそうな、反復を何重にも重ねた自分の好きなファンクを、さらに骨だけにしちゃったみたいな、こんなに鋭利にしちゃっていいんだというくらいスカスカで線の細い1曲。針の穴に糸を通すような、一番気持ちのいい瞬間を切り抜いてずっと繰り返してるみたいなドラムとギターの配置が巧妙。乾いたドラムの音は普通にプリンスの、というか全ての音楽を含めて最も好きなドラムの音かも。この曲にハマってから最初はイントロが80sポップすぎてその先入観でたぶん何かを諦めてしまっていた1999(曲の方)やD.M.S.R.が超しっくりきた。D.M.S.R.は今では次点のベストとも言いたくなるくらい好きな曲で、昔聞いたときはこんなにエレクトロ全開な遅いテクノというか、単調すぎるマシン・ビートを退屈に感じていたけど、でもここまで均等に配置したからこそ見えてくる要素もたくさんあると思うし、この弾力のあるドラムの音色も繰り返すだけで寸止めっぽいもどかしい心地良さというか、何より最高のギタープレイが浮き彫りになる。The Metersとかとも繋がる部分だと思うしZappのスタイルとも近い。Zappと並べることでちゃんとP-FUNKとかとのリンクも感じれる気がする。続くAutomaticも割と延長線で延々と続くマシンビート的な曲だけどD.M.S.R.と比べるとポップスとしての色が強く、それでいて9分間ひたすら遊び心が詰まったアレンジが続々と出てくる。続くSomething In The Waterも同じく機械的なビートがこの中でもとくに強い曲だが(しかもとびぬけて速い)(速いのでかっこいい)、パープルレインとかのムードとも近い低体温で湿度の高いメロウさが全面に出ててかなりかっこいい。このD.M.S.R.→Automatic→Something In The Winterという3曲の流れが一番好きだけど、どうやら元のLPだとD.M.S.R.がB面の最後らしいので、これは完全にCD及びデジタル世代の感想ですね。

プリンス聞きながら散歩してたら前日雨だったのもあり田んぼの合間を流れる小さな水路が結構ギリギリくらいまで水かさが上がっていた。田んぼ自体も溢れそうになってて稲が埋もれてるのもいくつかあった。よく見ると水路は段差が定期的にあって下に向けて流れるようになっているが、これは自分が気づいてないだけでそもそもこの道自体、なんとなく歩いてるけどこんな平坦に見える田んぼでもかなり傾いてて効率化するための段差なんだろう。段差のあるなしとか急かどうかを見ると歩いてるだけでは気づけないこの土地の傾きというか緩急がわかる気がして面白かった。田んぼ自体のメカニズムというか構造を全く知らないけど、水かさが一定になるようにする仕組みとかって死ぬほど大変だろうなとか思いながら歩いていた。土だし絶対安定しないイレギュラーいくらでもあるだろうし、シンプルに見えてああいうのってまともに回るようにするのめちゃ大変なんだよな・・・と前職とかを思い出したりした。最近農耕用作業車とすれ違うことが多いがトラクターの田植えの仕組みとかもよくわかってないけど見てるだけで面白い。かっこいい。装填されてる稲が撃ち込まれるまでの流れというか中身に妄想を膨らましたりする。子供の頃ってこういうのに好奇心がめちゃくちゃ向いていた。ボーリングのピンが倒れた後どうやって再装填されるのかとかボールがどういうメカニズムでこっちに戻ってくるのかとか、どんな通路、仕組みがあるのかとか。洗車機とかもわくわくした。ガソスタにあるやつ。

最近また絵を描いていて人間描くの疲れるし好きじゃないから描きたいものだけを好きなだけやるって形でリハビリへ。てことで風景、背景だけやってます。めっちゃ楽しい。楽だ。楽だし、人間を入れるために構図を変形させたりしなくていいので一番やりたいもの、やってて楽しいものを全面に押し出せる。躍動感があるというか、それが伝わる出来になったんじゃないかと思う。思うが、それと同時にキャラクターを褒められたことがあるし、キャラクターがいると二次絵というカテゴリになると思うので、もうキャラ描かないのかなぁと思ってしまう方もいるんじゃないかと思われる。自意識過剰かもしれないが、でも自分もバンド聞いててこれやってる側は一番やりたいこと楽しいことかもしれないけど1stとかのあの感じも好きだったなみたいなこといくらでも思いますからね。てことで無理矢理キャラを書き足してそのカテゴリでもやってけるようにしたら、普通に後から足したので違和感にしかなってなくて、色々もやもやしています。

指が疲れたので終わりです。



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