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対岸のメル 幽冥探偵調査ファイル


対岸のメル 幽冥探偵調査ファイル - 福島聡/ハルタ/全2巻(2022~2023)

好きすぎる。福島聡の最新作で一時期これが一番楽しみでハルタ買ってました(あとダンジョン飯)。福島聡は前作のバララッシュも本当に名作でキャリア長いのに全然普通にここ数年最新作が面白すぎて、衰えてないどころが加速し続けていることが感じられてすごい。メルちゃんっていう幽霊が見える不思議な女の子と、小学生の男の子ワキヤくんの心霊ミステリージュブナイル。破天荒なメルちゃん見てるだけでいくらでも見れる。ユルそうな雰囲気に見えて心霊ものだけあって結構人が死んでるし割と不穏。ミステリーだし。メルちゃんは植物や動物の声を聞くことができて、冒頭数ページで出てくる「綺麗な花ほどよく文句言ってる」のくだりがフックがありすぎてそれだけでファンになってしまいました。手を繋いでいる間だけワキヤくんも同じ状態になれる。メルちゃんは小さい頃から幽霊が見えてしまうせいで「生きているヒトより死んでいるヒトの方が楽しい」「死ぬのがたのしみ」とまで言い切ってしまう。彼女を抱きしめるワキヤくんにグッとくる。兄弟誌の青騎士でやってたムシコミュニケーターという漫画があって、主人公は虫と会話することができるのだけど、虫ってあっという間に死んでしまうため同級生とはズレた死生観を持つ描写があったけどあれを思い出す。2巻、メルちゃんが消えてからジャンルを歪めてしまうような大きな展開があるんだけど、流石に作者の節が効きすぎてて痛快だった。同作者の名作「少年少女」とかと近いほのぼのとしてるけどその実どこかちょっと危うげで、居心地はいいのにどこか違和感が残る、みたいな空気を継承した作品だと思う。とにかくメルちゃんもワキヤくんもかわいすぎる。もっと見たかった。

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