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エロチカの星


エロチカの星 - 前野温泉/ヤングマガジンKC/全4巻(2023~2024)

美大で絵を学んでいた主人公が好きになった女の子をきっかけに漫画を描くようになり、結局振られ、色々トラウマになったもののその頃の執着に逃れられず漫画を描き続けているもまるで結果がでない、そんな感じのダメな印象から始まる32歳童貞が色々あって10代の完璧そうな超絶美少女とエロ漫画を描くようになるという話。実はこの美少女も友達の姪っ子で小さい頃に面識があり、今はエロ漫画愛好家に。主人公の遠藤は原作担当、美大卒だけあって絵はうまいけど中身が薄くて自分の弱いところに気づきながらも目をそらし続けていたっていう怠惰が割と個人的にグサッときた。漫画描く作品ってのはもちろんだけど割と素直に二人のラブコメとして良かった。あと序盤ちょっと小汚いしべろべろに酔っぱらって吐くシーンから入るせいでダメダメなイメージがついた遠藤の印象が物語を進むうちに変わってきて、色々おおらかすぎて的を外してはいるように見えて、それが結果的に正解になる立ち回りというか、傍目に見ると危ない橋の渡り方をしてるようでちゃんと周りに味方をつけてくタイプの人に見える。思ったより全然ダメじゃないし、それなりに年齢いってるのもあってここぞというときに落ち着きもあるし、自分のことを省みれているし、描写はそんなになかったが会社でも結構慕われてるタイプだと思う。逆に相棒となるよすがは人を寄せ付けないくらいクールな美少女でズバズバとなにもかも切り込んでいく意思の強さがあるけど、意外とこの強固なイメージはブレブレで超人なんてことはなく、それはやっぱ20歳いくかいかないかくらいの勢い感が暴かれていくのが良い。この二人が交錯しながら最初のイメージが徐々に塗り替えられていく感じが、掘り下げるってよりキャンバスの色がじわじわと違う色にグラデーションをかけて変わっていくような感じで夢中になる。先月最終巻が出たばかりですが出会えてよかったです。

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