見出し画像

アマリリス


アマリリス - 福島鉄平/ヤングジャンプ/全1巻(2014)

同作者による同時発売のスイミングと比べるとこちらは青年誌の方に掲載した作品を主に収録した短編集。表題作のアマリリス、めちゃくちゃ名作だと思うが、めちゃくちゃ切ない。表紙のインパクトもすごい。でもエピローグが本当に良い。単行本初収録とのことだが読み切り掲載時読んでそのまま終わったら自分は耐えられなかったと思う。スイミングは少年少女の恋愛模様を描いた甘酸っぱい作品だったのに対し、今作はいきなり母親に捨てられ「へんたいのおじさん」に買われて毎日女の子の恰好をさせられる少年の話から始まる。他も中々衝撃的で育ての親に暴力を振るわれる孤児の話とか、農夫を苦しめた極悪貴族の娘の話とかもある。極悪貴族の娘、本当に傲慢で極悪な父親に大切に育てられたことが伝わってきて、孤児院に引き取られたあとも真っすぐ父親を愛しているのがすごい印象深い。イーサン飯店の兄弟は今日も仲良しがとくに好き。自分は子供時代兄という立場を利用して弟を都合良いように使っていたし、お互いが大人になった今でもそれを思い出して申し訳なく感じてしまうことが割とある。まぁ向こうは全然覚えてなくて気にもしてなかったりするけど、自分は自分のやったことを一生忘れられませんからね。イーサン飯店は作中に割と、というかかなり近いシーンがあってそれを思い出した。作中では幸せなすれ違いでしかないんだけど。自分がどうだったかはわかりません。あと私と小百合も超名作でしょう。女装して外に出るようになった男の子の話で、別人として違う視点で人と接すると相手も日常の中では感づけなかった新しい側面が見えてくる。この単行本の最後を飾る短編だけど冒頭のアマリリスと対照的になってると思う。あと小百合がかわいすぎる。こんなにかわいい女の子の絵ってあるんだって思えるくらいかわいい・・・。単行本裏表紙にも載ってるので是非。マジで美しいです(男だけど・・・)。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?